11 ブリキュア誕生⑥
「反吐は反吐でも血反吐を吐かせてやる!」
怪人が、そう言うとブリ男が、言葉を返す。
「貴方の相手は、サーラさんです!
さぁ!サーラさん!
あの名前も与えられない怪人の胸にその矢を当てるのです!
貴方の必殺技を見せてください!」
ブリ男が、そう言うとサーラは戸惑いながらもうなずく。
「は、はい……!」
サーラが、弓を構える。
「名前……だと?」
怪人が動揺する。
「さぁ、サーラさん今です!
貴方の弓の旋律を響かせるのです!」
「弓の旋律……」
サーラが、ゆっくりと目を閉じる。
そして、溢れ出る呪文の詠唱をはじめる。
「そうです。
心の中に溢れる呪文を唱えるのです!」
ブリ男がそう言うとサーラの右手が輝く。
「貴方のハートを貫きます!
私に響け!ハートアロー!」
サーラが、矢を撃ち放つ。
矢は、まっすぐと怪人の方に打ち放たれ。
そして、その矢は怪人の胸に刺さる。
「え?まさか……
俺が!この俺が……!」
怪人の体から光が漏れる。
「怪人!貴方の悪行もここまでです!」
ブリ男が、そう言うと怪人が大声を上げる。
「嫌だ!!
まだ死にたくない!
まだ俺は……殺してな……い!
殺してないんだ!!」
怪人は、そう言い残し小さく収縮されそして消えた。
「倒せた?」
サーラが、そう言って腰を抜かした。
「お疲れ様です。
そして、初怪人倒しおめでとうございます」
ブリ男が、そう言うと手をぱちぱちと叩く。
「なんか体の力が抜けた感じ……」
「はい、そうでしょうね。
サーラさんは、まだ魔法の訓練がされていないので魔法を何回も打てば疲れますね」
「そういうものなんですか?」
「はい、普通に運動するよりもカロリーを消費します。
あ、魔法でダイエットもできるので女の子は大喜びですね」
「そ、そうなんですか……」
サーラは、そう言ってその場で崩れた。
「おや?
サーラさん?」
ブリ男が、サーラの方を見る。
そしてサーラから早良に戻った少女を抱き上げ背負う。
「まぁ、最初はこんなものですね……
ですが、早良さん。
貴方はこれからまだまだ伸びますよ。
いえ、伸びてもらわなければ困ります」
そして、そのまま歩き始める。
伊藤 早良がブリキュア・サーラになったその日……
世界が変わる日でもあった。