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僕は、それから何度も何度も愛とセックスをした。
朝も昼も夜も……
あるのかさえわからないふたりだけの世界。
僕は、そんな世界で愛とふたり愛しあった。
このセックスに、愛があるのかどうかさえもわからない。
でも、セックスをしているときだけは全ての悲しみから解放される気がした。
その快感に僕は逃げていた。
怖いんだ。
また愛を失ってしまう感覚が……
僕はとても怖かった。
瞳が言った。
「泣いても良いよ」
僕は答えた。
「俺は、泣かない」
瞳は言った。
「じゃ、私が代わりに泣いてあげる」
瞳が、僕を抱きしめ涙を流した。
僕は、泣かないと決めた。
お姉ちゃんとの約束があったから……
最初は、いっぱい泣いちゃった。
瞳と出会ってから……
愛と出会ってから……
泣かないって決めたんだ。
でも……
あのとき。
あのとき僕は、泣いていたんだ……
本当は泣いていたんだ。