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腕がだるい。
「……何をしているの?」
「たまには、一緒に寝るのもいいかなって……」
瞳は、僕の腕を枕にして横になっていた。
「重いんだけど……」
「お、重いって失礼な!
うりうり」
瞳は、僕の顔をつついた。
「大人になったんだね……」
「え?」
「なんか、少したくましくなった感じがする。
お姉ちゃん卒業かな?」
「瞳も、彼氏作りなよ。
モテているんでしょ?」
「朝、一人で起きれる?」
「無理……」
「じゃ、暫く一緒にいてもいいのかな?」
「当たり前だろ?
俺たち、姉弟なんだから……」
「ねぇ、覚えてる?」
そう言った瞳の目が、悲しげだった。