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「ってわー!
誰だー!」
僕と瞳は、目に映る人の姿を見て驚いた。
「お兄ちゃんとお姉ちゃん!」
「その声は、愛?」
「うん、そうだよ」
「髪の毛がないから、一瞬誰かわからなかったよ」
瞳は、まだ目を丸くして驚いている。
久しぶりに会う愛の姿に僕らは驚いた。
この時の僕は無知で、少し残酷だったのかもしれない。
「本当に愛なの?」
瞳が恐る恐る尋ねる。
「うん」
「……そだ
愛、誕生日おめでとー
ケーキ買って来たよ」
「えー!
ケーキ??」
愛が眼をキラキラと輝かせて喜んでいる。
頑張って買ってよかった。
心からそう思った。
「うん、僕と愛のお小遣いを合わせて買ったんだ」
買ったのは、コンビニで買った小さなケーキみっつ。
だから、ローソクはない。
「ロウソクは、無いんだ
ごめんね……」
それでも、愛の表情は優しく。
そして、笑顔でいた。
「うんん!
私、嬉しいよ!」
僕はこの時の笑顔を忘れないようにしよう。
なぜだかこのとき思ったんだ。