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水谷さんも泣いていた。
お互い料理がしょっぱいねって言いながらご飯を食べた。
ご飯を食べ終えたあと、僕は水谷さんの体を抱きしめた。
「水谷さんの体、ぽっかぽかだね。
まるで、カイロみたいだ……」
「結城くんの体も、カイロみたいですよ」
水谷さんが、僕の目をじっと見ている。
「どうしたの?」
「私たちカップルですよね?」
「そうなるのかな」
「じゃ、私のことは奈々と呼んでください」
「わかった
その代り、奈々も俺の事は真白と呼んでね」
「うん、わかった」
水谷さん……じゃなかった。
奈々は、嬉しそうにくすりと笑った。
奈々の香りが、奈々の温もりが僕の体を刺激した。
「奈々」
「なんでしょう?」
「好きだよ」
「私もです」
そう言って、どちらかが求めるでもなくキスをした。
自然なキス、無理矢理でもない強引でもない。
温かいキスを……
世界で一番しあわせなキスをした。