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「お前な……
事件にでもなっていたら、停学モノだぞ?」
担任は、溜息をつきながらそう言った。
「それって、本当のことなんですか?
前に言ってましたよね?
『前の学校で色々あった』って……」
「ああ、言ったな。
だがな?俺の口から言うことは出来ない」
「僕は、水谷さんになにがあったとしても変わるつもりはありません」
「そう言う問題じゃない……
プライバシーの問題だ」
「プライバシーですか……」
「ただ、俺から言えることは……
水谷の過去に何があったとしてもアイツとは仲良くしてやってくれ……」
「何があってもって……?」
「あの子は、心に大きな傷を負っている。
良からぬ噂を立てられて、学校も転々している。
もし、本当に何があっても変わらないのなら……
本当に本当に本当に!アイツの味方になってやってくれ」
「……そのつもりです」
担任は、優しく微笑むと息を吐くと同時に言葉を繋げた。
「さぁ、今日はもう遅いぞ。
とっとと帰れ」
「わかりました」
僕は小さくうなずくと鞄を持って学校を出た。