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「えーん」
また、愛が泣いている。
僕は、愛が泣いている姿より笑っている姿の方が好きだった。
「そうだ愛、君が16歳になったら僕が迎えに行くよ!」
「本当?」
「うん。
だから、もう泣かないで」
「うん。
泣かない」
愛は涙を拭って小さく笑う。
そう、僕は愛のその顔が見たかったんだ。
「泣いたら、迎えにいかないからね!」
「えー
それは、酷いよぅ」
なのに意地悪なことを言ってしまった。
すると案の定、愛は、また泣きそうな顔をした。
「だから、泣いたらダメだよ」
「どうして??」
「だって、笑っている顔の方が好きだから……」
「うー」
愛が唸っている。
その表情が可愛くておかしくて、俺は、笑ってしまった。
「じゃ、私はどうなるのよ?」
瞳は、僕の顔を睨んだ。
「16歳になった愛に彼氏がいたときは、僕が瞳を迎えに行くね」
「真白って愛にだけは、優しいよね。
愛ばっかずるーい」
「仕方がないだろ。
愛の方が歳下なんだから……」