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「もしもあの子が妹だったら……
お前は世界の一部を敵に回していただろうな……」
「妹って?」
「妹属性派の人間からしたら羨ましい限りだ」
「お前は、妹属性派の人間なのか?」
「もちだ!
可愛い女の子に、『お兄ちゃん』って言われてみたい!
しかも、ドジっ子だったら最高!」
「お兄ちゃんねぇー」
もしも、瞳が妹だったら。
少し、想像してみた……
「お兄ちゃん!
朝だよ!起きて」
瞳は、俺の体を揺すった。
「後少しだけ……」
「もう、お兄ちゃん!
後少しってどれくらい?」
「三寸……」
「単位がおかしいよ!」
暫く時間が流れる。
「はい、三寸経ったよ!」
「……経ってない、経ってない」
「もう、必殺技使っちゃうよ?」
無視して寝る僕。
「えい!」
お腹に激しい痛みを伴う。
めまいがする。
「あ、力加減間違って、本気で殴ちゃった。
えへ!」
僕の意識が遠のく中、瞳の声が小さくなっていった。