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「にしても……
 かなりの被害じゃないのか?」

 そういったのは勇者コース最強候補のひとり馬神 焔。

「そうね……」

 その相方、シエラ・シエルがうなずく。

「まぁ、死人は少ないほうがいいから癒やすけど……」

 十三の顔には疲れが見える。

「お前、美神だっけ?大丈夫か?」

 焔が十三に尋ねる。

「大丈夫じゃないのはこの子たちだよ」

「でも――」

 シエラがそういいかけたとき。
 綺麗な歌声が聞こえる。

「♪きっと輝いてる―♪
 ♪ずっと輝いている――♪」

「なんだ?このロリボイスは……」

 セロが驚く。

「あいうさんの歌声」

 シエラが安堵する。

「あー。いつ聴いても癒やされるなぁ」

 焔が和む。
 十三の疲れが少しずつ取れていく。

「すごい。
 なんだろう。
 癒やされる」

 十三は、そういって気力と体力を取り戻すと。
 すぐに次の生徒たちを回復していった。

 助かった命はほんの僅か。
 助からなかった命が数多い。

 回復術を備えているものは十三とその他数名。
 助けれる命には限度があった。
 しかし、この事件のあと力を増した生徒たちが多かった。
 人々はこの事件のことを「灰色の授与式」と呼んだ。

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