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「十三くん。
状況はどうなっているんだ?」
セロが、十三に尋ねる。
「こんな言葉を知ってる?」
「うん?」
「『見てわからないものは聞いてもわからない』って……
僕にもなにがなにやらわからないよ」
十三がため息混じりにそういうと空から数人の生徒が落ちてくる。
「クソ!!あの爺さん殴ろうとしたらふっとばされたぜ!」
百道が舌を打つ。
「おじいさんを殴ろうとしたの?
それはそれでヒーローとしてどうかな?」
丹歌がそういうと健太が言う。
「悪は即刻、消していいんだぞ?」
「余は一発殴ったぞ?」
男子学生が胸を張って言う。
「あ。かみさま?」
丹歌が、そういうとかみさまと呼ばれる男子学生が更に胸を張る。
「そう余はかみさま。
大神 神。
余のことは親しみを込めてかみさまと呼ぶがいいぞ?」
かみさまは、そういってさらにさらに胸を張った。
「えっと殴ったの?」
丹歌が驚いている。
「うむ。
だが、案の定吹き飛ばされた。
分身とは言えフィサフィーだな。
今の余では勝てん」
そしてそのかみさまの上に落ちてきた少女。
「あーーー!!!殴れなかった!!!」
万桜がその場で地団駄を踏む。
「ふふふふふ。
余は殴ったぞ!」
「あ、かみさま?
どうしてしたに?」
「余が避ければ主が怪我をするしな。
どちらにせよ、地団駄は痛いな」
かみさまが苦笑いを浮かべる。
「あ。ごめん」
万桜が小さく謝りすぐにその場を離れた。
「気にするな」
かみさまは、万桜の頭をポンポンと軽く叩いた。