バナー画像 お気に入り登録 応援する

文字の大きさ

愛しい人

キヨウスケはケータイをテーブルに置くと、キヨウコを見て笑いながら言う。

(いゃ、大丈夫、大丈夫······まったくお邪魔じゃない······何かあったらいつでも家に来ていいからね······)

キヨウコは安心した。

1人で自分の部屋にいると気が変になるだろう。

キヨウコは笑っている2人を見ながら羨ましそうに言った。

(······なんか、いいな······)

カオル

(なにが······)

キヨウコ

(うんっ、なんかさ、カオルもおじさんもすごく気持ちが暖かいよ······それに比べてウチなんかさ······)

と言って下を向いたまま黙りこんでしまった。

少しの間、3人は沈黙した。

キヨウスケは言う。

(暖かいか······でもね、キヨウコちゃん、ここが暖かくなったのはついさっきだぞ····)

カオルは笑った。

キヨウコは興味津々に聞く。

(えっ、それどういう意味ですか······)

カオルは笑いながら言う。

(いゃ、さっきね·······私と父さん、和解したんだ······)

カオルの家庭の事を聞いていたキヨウコは驚きながら言う。

(えっ、じゃあ、2人とも深い溝を修復できたんだ······私はさっきまで親とケンカしてたよ、いいな······)

と寂しそうに言った。

キヨウスケは顎をしゃくりながら(まぁ、いろいろあるからな······)と言う。

キヨウスケはもう料理を終わっていた。

カオルの料理が少しだけ残っていた。

キヨウコが料理を見ると美味しそうに言う。

(わー、なにこれ······チョー美味しそうじゃん·····)

カオルは笑顔で言う。

(ああっ、それ、父さんの作った料理だよ······少ししかないけど味見する······)

キヨウコは喜んで(ありがとう、じゃあ、いただくね······)

と言って箸で食べてみた。

食べてみるとすごく美味しかった。

(なにこれ······チョー旨いよ······おじさんって、料理するのうまいんですね、なんか、すごくカッコいいな、うちのパパなんかなんにも出来ないですよ
すごいですね······)

それを聞いたキヨウスケは上機嫌だった。

キヨウスケは笑いながら言う。

(そうだろう、そうだろう、旨いだろう、いゃーキヨウコちゃんは誰かさんと違って、味のわかる子だねー)

と言う。

カオルは(誰が味覚音痴だって)とキヨウスケをにらんだ。

キヨウスケはとぼけた顔をしながら笑っていた。

3人はリビングのベッドに座ると話し込んだ。

キヨウスケは言う。

(ところで2人とも······昨日の事を聞きたいんだが、キヨウコちゃんは大丈夫かね······)

キヨウコは暗い顔をしながら(ハイッ、大丈夫です······)

と言った。

カオルは真面目な顔をする。

キヨウスケは2人の顔を見ながら考えて言葉をしゃべった。

(昨日2人を助けた男性は本当に知り合いじゃあないのか······)

2人は顔を見合わせてうなずいた。

キヨウスケ

(······そうか······あと、2人に言っておきたいんだが今から言うことを真剣に聞いて欲しい······)

カオルとキヨウコは真剣な面持ちで、(わかった)と言った。

キヨウスケ

(これから2人とも、自分をもっと大切にして欲しい、
夜遅くに外出することはやめること、いいね······)

カオルとキヨウコは(ハイッ、わかりました)と言う。

キヨウスケ

(これから何処かへ行くときは必ず親に言うこと、いいね······)

2人は((ハイッ、)と言う。

キヨウスケ

(もう無茶なことはしないこと、約束できるか·····)

キヨウコ

(わかりました、おじさん······もうこれからは無茶なことはしません、何処かへ行くときは必ず親に伝えていきます······)

カオル

(······父さん、今まで本当にごめんなさい、これからは無茶なことはしません、何処かへ行くときは必ず父さんに言います······)

キヨウスケはため息をつきながら言う。
(わかった、2人とも、もう無茶な事はするなよ、信じているからな······話はこれでおしまいだ······)

と言い3人はやっと本当の意味で安心した。

カオルは昨日のバイクの男性の事を思い出して言う。

(そうだ、昨日のバイクの人、もしかしたら私の知り合いかもしれない······)

と言った。

キヨウスケとキヨウコは同時に言った。

(知り合い·······)

カオル

(うんっ、あのねお父さん小学校5年生の事、覚えてる······この家にたまに遊びに来ていたヨシキって子を覚えてる······)

キヨウスケ

(小学校6年生の事······ヨシキ)

キヨウスケは(ウ~ン)と言って昔の事を思い出そうとしていた。

1分もすると(あっ、あの子か······)と言った。

キヨウコは(ヨシキて誰なの、一体·····)と言う。

カオルはなにも言わずに黙っていた。

キヨウスケは(ヨシキくんはカオルの同級生で初恋の相手だよ······)と言う。

それを聞いたカオルは狼狽した。
(ちっ、ちょっと、なにいってんの······)

キヨウコは(えっー、カオルの初恋の相手、なにそれ、だってまだ小学生ったらガキじやん、しかも、その子とこの家で遊んだー、あー、流石カオルってすごいね、で、その子とそんな時からHしてたんだ、ハンパじゃねーなー、私だって始めては高校生だったのに······)

と、思わずキヨウコはいってはならぬことを口走った。

それを聞いたキヨウスケとカオルは驚きながら言う。

カオル

(えっ、キヨウコもうヤッちやってたんた、すごいね)

キヨウコ(えっ、いゃ、今の嘘、まだそんな経験はないよう)

キヨウコとカオルがキヨウスケを見るとキヨウスケはすごい怒りの顔をしながら2人を見ていった。

(カオル、お前ってやつは······キヨウコちゃん、

そんな話はしなくていい······)

と切れながら言った。

カオルは必死になって誤解をとく。

(ちょっと、キヨウコ、あんたなにいってんの私はまだヤッてねーよ、お父さんも私がそんなにバカなことすると本気で思ってんの······)

キヨウスケは冷静になり言う。

(いゃ、流石に思ってない、まー、キヨウコちゃんの話は聞かなかったことにする、でも、避妊はするんだぞ······)

とカオスな話をした。

キヨウスケ

(まー、いいや、と言うことはバイクの男性はあのヨシキ君なのか·······確かあの子は引っ越しをしたんじゃなかったか、お前会ってたのか······)

ヨシキは親の都合で引っ越しをしていた。

しおり