来訪者
カオルはひさしぶりに優しい笑顔になりながら言う。
(それで今日はなにを作ってくれるの······)
恭介は(ウ~ン)と言いながら真剣にアプリに入っている料理を検索しながら言う。
(じゃあ、これなんかどうだ、ちょうど材料もあるしな······)
と言ってカオルにケータイを見せた。
カオルが笑いながら見ると料理の名前はチーズたっぷりのピーマンの肉巻きだった。
カオル
(いいね、すごく美味しそうだよ····私も手伝うよ)
と言った。
だが、恭介は言う。
(いゃ、カオル······今日は俺に作らせてくれ、
自信はあるんだ······)
と言って笑った。
カオルはは言う。
(わかったよ、でも今度は一緒に作ろうね······)
恭介は本当に嬉しくて(ああっ、今度は作るときは手伝ってくれよ······)
と言ってくれた。
そして、恭介は料理を作りにかかった。
50分間のかくとうの末、料理は出来上がった。
時刻が2時10分を過ぎた頃、恭介の料理がお皿に乗ってリビングのテーブルに運ばれた。
肉巻きのいい香りが部屋にただよっていた。
恭介とカオルは席につきながら料理を見つめた。
カオル
(すごく美味しそうじゃん······早く食べようよ)
恭介は意外に上手くできたと思いながら言う。
(いゃ、ちょっと待て、カオル······せっかくだから写真に撮って俺のブログに載せたい······ちょっとケータイで撮るからな······)と言って自分のケータイをカメラに合わせて一枚写真を撮った。
なにやらカチャカチャやりながらそれが終わると満々の笑顔を見せながら言った。
(いやー久しぶりにいいものをのせたな······)
カオルは少し引きながら言う。
(ちょっと、ケータイで載せるのもいいけどさ······
料理が冷めちゃうよ······)
とため息をついた。
恭介は(すまん❗すまん)と言いながら2人でいただきますと言って食べた。
恭介は感想を述べた。
(ウ~ン、旨いな······このピーマンの肉巻き、
チーズの甘さと肉の旨味がよくあってる、そしてピーマンのほろ苦さがなんとも言えん····)
カオルは笑いながら言った。
(そうだね、フツーに美味しいね)
恭介
(··フツーにって、お前··)
恭介とカオルはひさしぶりに会話した。
その時、玄関のインターホンが鳴った。
カオルとキヨウスケは誰だろうと思った。
カオル
(ちょっといってくる······)
と言って玄関に向かった。
玄関を開けると友達のキヨウコがいた。
キヨウコは落ち込んだ顔をしながらカオルに言う。
(カオル······ごめんね、来ちゃった······)
その顔は周りを警戒するような恐怖に満ちた顔であった。
キヨウコは昨日の出来事もあり、カオルの家に来るまで、外を歩くと言うことがかなりの勇気がいた。
昨日の出来事はそれほど、キヨウコに恐怖を与える出来事であった。
来る途中、何度も泣きそうになったが、必死になって押さえた。
キヨウコはカオルの顔を見て落ち着いたのか、少し涙を流した。
しかし、手で涙をふきすぐに笑顔になった。
そんな姿を見たカオルは心配そうにキヨウコに言う。
(どうしたの······キヨウコ、まさか、また誰かに······)
キヨウコは手を振って言う。
(ちがう、ちがうよ、カオル······家にいるとさ······親とケンカしちゃうから、ここに避難しに来ちゃった······ごめんね、迷惑だった······)
カオルは安心するとキヨウコを優しく抱きながら言う。
(そうか、よかった、まっ、あがりなよ······)
キヨウコは本当に救われたと思いながらカオルに言う。
(分かった、本当にありがとうね、じゃあ、おじやまします······)
と言って2人は家のリビングへ行った。
リビングに行くと、キヨウスケが真剣な顔をしながらケータイのアプリを見ていた。
カオルたちがリビングへ行くと、キヨウコがキヨウスケに挨拶をした。
(今日は·····お邪魔します·····)
キヨウスケがケータイを見ながら(おおっ、キヨウコちゃんか······こんにちは······)
と挨拶を返した。
3人は笑った。
キヨウスケ
(キヨウコちゃん、昨日は大変だったね、もう、大丈夫なのかい······)
と優しく言った。
キヨウコが辛い顔をしながら言う。
(ハイっ、大丈夫って訳じゃあないんですけど、家にいると親とケンカしちゃうからそれで来ちゃいました。
キヨウスケはなるほどなと思った。