そう責任者の憂鬱
「はー」
パンダがため息を吐いた。
パンダは、力なく遅い足取りで、洗濯機に向かった。そしてその周囲を探してみると、袋が落ちていた。
「はー、本当にあったよ。まったくもー」
と、あきれながら言った。
なかを確認すると、通帳とハンコウが入っていた。パンダは安堵しながらゆうのところに行った。そして、魚が死んだときに見る目をしながら裕に行った。
「ゆー君、あったよ、これからは物を大切にしてね。」
と、言った。
ゆーは焦りながら言う。
「わ、わかった、これからきをつけます、じゃあ、とりあえず、銀行に行こうか」
と、笑っていった。あまり反省している様子ではなかった。ただ、いつものことなので、
パンダは怒る気もしなかった。
二人は、アパートの鍵を閉めて階段を下り、駐車場に向かった。
黄色い軽自動車にキーを差し込む。ゆーが言った。
「パンダ君、運転する」
パンダは緊張していた。この状態では、運転は無理と思った。パンダは言う。
「いゃ、今日はちょっとムリ」
といい、ドアをけ、助手席に座る。
裕は『そうか』と言い、ドアを開け、運転席に座った。キーを差し込みエンジンをかける。
ゆーは服のポケットから煙草を取り出し、火をつけた。そして「ん」と言い、パンダに煙草を差し出す。パンダもタバコを一本取り出した。ゆーが、ライターを差し出す。
パンダはライターで、火をつけて、言った。
「安全運転で行こうね」
ゆーは「ん、ん」といって、車を走らせる。
道路はあまり混んではいなかったが、安全運転を心掛けた。二人とも無言だった。
沈黙をパンダが破った。
「それにしても・・・・いったい何に使おうかな、ゆー君、考えた。」
ゆーは言う。
「そうだねーとりあえず大金だしねー、今までは不可能だった、宇宙の旅にでも行ってみようか」
パンダは笑っていった。
「そうだね、今までの僕たちじゃあ、宇宙船の切符も変えなかったからねー。宇宙旅行ならどこに行く。」
と、パンダは目を輝かせていった。
確かにこの世界に一般人は宇宙の旅行に行ける。国内よりもはるかに宇宙旅行のほうが高かった。
ゆうは運転しながら思った。
「何かバカンスを楽しめる島にでも行きたいーん、そうだ」
ゆうはパンダに言う。
パンダ君、どうせ行くならバカンスが楽しめる惑星に行こうよ、さしあたり、カ
ラムの惑星はどうであろう」
なるほど、と、パンダは頷いた。
「いいねーゆーくん、じゃあ、お金を換金したら旅行会社のＨＩＸのお店に行っ
てみようよ。いーい。」
「うむ、わかった、そうしよう」
そういっているうちに二人は動物タウンについた。
車を駐車場に止めて、車から降りる。
動物タウンには様々な人種が歩いていた。
彼らはドキ、ドキしながら銀行に急いだ。
やがて大きなみずぽ銀行にたどり着いた。
ドアを開けると、大勢のお客さんがＡＴＭに並び、奥の通帳を取り扱う大部屋に
は、長椅子に人が数人座っていた。
ゆうは整理券を取るとパンダとともに椅子に座って呼ばれるのを待っていた。
やがて、呼ばれた。
「１０８番でお待ちのゆうさん３番の窓口にお越しください」
ゆうとパンダは一緒に窓口に向かった。
女性のきれいな定員は言う。
「本日はどのようなご用件でございますか」
ゆうは宝くじの件を出して「これをお願いします」と言った。
定員はその件を見ると一瞬驚いたが、すぐに冷静になり「わかりました、しばら
くお待ちください」といって、奥に行った。
待っていると男の定員の人が「こちらにどうぞ」といって、別室に案内された。
別室にはこの銀行の責任者という５０歳くらいの男性の定員が待っていた。
部屋は広く、中央に小さい分厚い木の台と椅子がありそこに座ってくださいと言
われたので二人とも座って待っていた。先ほどの女性店員が、冷たいお茶を持っ
てきてどうぞと言った。
二人とものどがカラカラだったのでいただいた。すごくおいしかった。
総責任者とガタイのいい熊のガードマン３人が荷台に積んであるケースを慎重に
運びながら来た。
総責任者は言う。
「ゆうさま、パンダ様、こちらがご当選したお金でございます。」
くまの警備員がお金の入ったトランクを開ける。
中からお金が引きつめられた束がずらりと並んでいた。
ゆうとパンダは歓声の声おあげた。
「おおー」
パンダの目が血走った。
それを横で見ていたゆうは言う。
「パンダ君、大丈夫かね、目が怖いぞ」
ゆうはまるでいつもと変わらなかった。
大体ゆうという人物はあまり大金を見てもお金に惑わされる人物ではなかった。
ただし、パンダは普通の欲にまみれていたが・・・・・・
総支配人が言う。
「おめでとうございます。お客様、ところでこのお金は今日お持ち帰りになりますか」
ゆうとパンダは、さすがにそれは無理と思い、ゆうが言う。
「いや、それはさすがに無理なので、とりあえず、銀行にちょきんしたいのですが・・・・・・」
それを聞いた総支配人は、ニヤリとした。目がつりあがり怖い。
「そうですか、お客様、ところでこのお金を使って投資などなされてはいかかでしょうか、
今、良い株があります。せび、ご検討ください。また、資金運用に当たりまして、今、
利回りの良い定期貯金や、当方の銀行で発行していますクレジットカードや各種お取り扱いの
いろいろなサービスがございます。」
パンダは言う。
「ゆうくん、どーしょーか、良い株があるって、定期貯金やクレジットカードもいいね。」
パンダ君が興奮して話す中、祐はいたって冷静であった。
ゆうは考えた。
「ふーん、株ね、この不況の中、よい株がある、嘘だな。いろいろ新聞や株式のテレビや
インターネットとか調べてみても今良い株など売っているわけがない。それに利回りのいい
定期預金、まったく、よくもまあ、パンダ君もお金を見て冷静ではないし、金が絡むと心が汚
れるのかもしれないな・・・・・・まあ適当にあしらっておこうか」
ゆうは普段バカなふりをしていたが、本当はそういう人物ではなかった。
普段の冷静なパンダ君ならそのことを一番わかっていただろうが、今は冷静ではないようだった。
