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「じゃ、転入生さんたち。
力の見せ所!砲丸投げをしてもらいます!」
女担任がそういってセロ、オトネ、百道、十三に砲丸を渡す。
「砲丸投げ?」
百道が首をかしげる。
「そうそう。
この砲丸を投げることで力量を測ることが出来るの!
砲丸に数値系があるでしょう?そこに力量が出てくるのよ」
「……科学の力ってすげーな」
百道はそういって驚く。
「焔くん、ちょっと手本を見せてあげて」
担任は、男子生徒の馬神 焔(まがみ ほむら)に砲丸を渡す。
「あいよっと!」
焔は、砲丸を投げた。
すると砲丸はきゅるきゅると音を立て。
ゆっくりと地面に落ちた。
「あれ?そんなに飛ばないもんなのか?」
百道がそういうと担任が砲丸の数値系を見せる。
「これが焔くんの数値。
今回の数値は30万」
「ま、とりあえず投げてみるのですます」
オトネが砲丸を投げる。
数値系は600万。
生徒たちが騒ぐ。
「続いて僕が投げるよ」
十三が砲丸を投げる。
数値系は580万。
生徒が騒ぐ。
百道が砲丸を投げる。
数値系が580万100。
生徒が驚く。
そしてセロが砲丸を投げる。
砲丸は落ちないで空中できゅるきゅる音を立て回っている。
「あら?」
担任が驚く。
「どうして落ちないんだ?」
百道が小さな声で呟く。
「んー
セロくんは特質タイプなのね。
数値は、56万だけど。
数値はそれプラス夢とロマンね」
担任が笑う。
生徒たちのテンションが上がる。
特質タイプ。
それは、ヒーローに多い素質である。
しかし、このヒーローとはヒーローになる人のために犠牲となる存在のことである。
このタイプのヒーローがまわりにいるだけで、自分もヒーローになる可能性が広がる。
ヒーローとは、世界を守る救世主。
ヒーローとは、物語の主人公。
ヒーローとは、主人公を応援するもの。
さまざまなヒーローがいる。
そのなかでもヒーローの犠牲になる存在、いわば足場になる存在のことを人々はこういった。
ヒーローにならざるもの【アンチ・ヒーロー】と。