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 セロは、複雑な気持ちになった。
 別にヒーローになりたかったわけじゃない。
 でも、足場になるのはなんか嫌だ。
 そんな気持ちだった。

「さて、君たちも投げてね!」

 担任は、そういってクラスメイトに指示を出す。
 クラスメイトたちは、次々と砲丸を投げた。
 結局セロは、下から3番めだった。
 一番低かったのは、詩空 丹歌。
 彼が投げた砲丸は真下に落ち地面に穴を開けた。
 にも関わらず、数値は4万。

「丹歌くんは、サポートタイプのようね。
 でも、諦めないで貴方も立派なヒーローになれるから」

 担任は優しく微笑んだ。

「……」

 十三が静かに丹歌の方を見る。

「どうかしたのか?」

 百道が十三に尋ねる。

「なんでもない」

 十三は、そういって空を見上げる。
 それはどこまでも青く……
 どこまでも広かった。

 十三は一番数値が高かった生徒の方に視線を移す。
 その生徒の名前は、初風 夏樹。
 数値は、1000万を超えていた。

「今日の調子は悪いようだ」

 夏樹は、そういってつぶやいた。

「……夏樹は凄いね」

「ホントに凄いよ」

 愛媛というなの女の子がそういって栃木が小さく頷いた。

「んー調子が良ければ2000万は超えれる気がする」

 夏樹は苦笑いを浮かべた。
 そして、ふと十三と目が合う。

「ん?」

 十三が声を漏らす。

「君が百道くんだよね」

「うん」

 十三がうなずく。

「登兄さんを助けてくれてありがとう」

「ああん?」

 百道が夏樹の方を睨む。

「あー、コード893のことかな?」

 十三が小さく笑う。

「コード893?
 登さんって、アインに捕まっていた人だよな?」

「そうそう」

 夏樹が笑う。

「って、さっき兄さんって言ったよな?
 お前、登さんの弟か?でも苗字が……」

「うん。
 兄弟のサカヅキを交わしたよ。
 コーラーでだけど」

「じゃ、お前も893なのか?」

「そうだよ。
 僕の名前は、初風 夏樹」

 夏樹は自己紹介し栃木と愛媛も挨拶をした。

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