54
「セーラー服をー
脱がしてもいいよー
大好きなご主人様だけーねー」
オトネが嬉しそうに歌いながら道を歩く。
今日から、セロとオトネは高校生。
「……変な歌だな?」
セロがそういうとオトネが驚く。
「ご主人さま知らないのですますか?」
「なにをだ?」
「この歌、名曲なのですますよ?」
「名曲?ごめん。
歌には興味ないんだ」
「ダメですよ!
ご主人さま!歌は文化ですよ!」
「……興味ないものには興味ない」
「はぁ。
なら歌をうたいましょう!」
オトネは、セロの手をぎゅと握る。
「どさくさに紛れて手を握るな」
セロは、オトネの手を離す。
そして、そそくさと逃げる。
「もう照れ屋さんなんだから……」
オトネは小さく笑うとゆっくり歩きだす。
それを少し離れた場所から見ている男がいた。
百道だ。
「……出るに出れない」
百道がため息をつくと誰かが肩を叩く。
「お前、中学生じゃなかったか?
なんでウチの学校の制服を着ているんだ?」
そういったのは健太だった。
「お、おう……これにはいろいろ事情があってだな」
百道はどう説明していいかわからない。
「まぁ、いいや。
学校向かわないと遅刻するぞ?」
健太もセロたちと同じ道を歩く。
向かった先は曽呂勇士学園。
転入生が4人。
クラスは、それなりに賑わっていた。
「美少年に美少女!
転入生がくるなんて男子にも女子にも優しい!」
クラスの女子たちが嬉しそうに笑う。
「……そんなワケでみんなよろしくね!」
担任がそういうとクラスメイトたちが返事をした。
ホームルームが終わると、セロの周りには女子が。
オトネの周りには男子が群がる。
転校生特有の質問タイムだ。
セロは、うんざりしながらも質問に答えた。
「モテるやつはつらいねぇ」
百道がセロに聞えるように嫌味を言った。
「あー、嫌味を言ってるよー」
女子がそういうと百道が答える。
「け……」
百道は舌打ちを打つ。
十三は、静かに本を読んでいる。
こうして4人の学園生活がはじまる。