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「さて……
これからどうするんだい?」
秋夫が尋ねるとセロが答える。
「とりあえず悪を倒すために力をつける」
「悪ねぇ。
それは俺たちのことかい?」
秋夫が小さく笑う。
「いや、アンタたちはヤクザだが悪じゃない」
「そうかい」
秋夫がタバコに火をつける。
「そう言えば、セロくん。
学校に行っているのかい?」
キサラギが尋ねる。
「僕は16歳なので……」
「それで?」
「義務教育は終わっているので通っていません」
セロの言葉に新一が言葉を放つ。
「それはダメだね」
「ああ、ダメだな」
灰児も賛同する。
「……どうしてですか?義務教育は終わっていますよね?」
「中卒ヒーローは、響かないぞ?」
灰児の言葉にセロは首を横に振る。
「僕は、ヒーローになりませんので」
「そうかい?
でも、強い人はみな少なくても高校を卒業しているんだぞ?」
「え?」
セロは驚く。
「高校に通ったほうがいいってことですか?」
すると裕也がいう。
「そうだね、できれば大学まで行ったほうが強くなれる。
世界観も広がるし行ってみたらどうだろう?
君たちなら転入生として認めてもらえるはず」
「君たちってオトネも入っているのですますか?」
オトネは驚いた顔でそういった。
「もちろんさ」
「オトネは刃バード大学卒業の資格を持っているのですよ?」
「刃バード?マジでか?」
灰児が驚く。
刃バード大学、それは能力が高いモノのみが入学することが出来る大学で数多くの勇者を世に出している。
「大マジですますよ」
「でも、刃バードはアメリカでしょ?
日本の大学の卒業資格じゃない」
登がそういうと秋夫が笑う。
「そうだな。
俺ですら大卒だぞ?
今はいいかもしれないが中卒ってだけで毛嫌いするやつもいる。
悪いことは言わない学校には行っておけ」
秋夫の言葉にセロは困惑する。
「でも、いまさら学校なんて……」
するとどこから現れたのか清空が言った。
「だったら、曽呂勇士学園にくればいい」
それに一番驚いていたのが健太だった。
「詩空 清空さん!」
「知っているのか?」
百道がおどけた声でそういった。
「知っているもなにもうちの高校の理事長だぞ?」
「え?」
セロは驚く。
「なにを驚いている?私はあるときは孤児院の先生。
あるときはミストフォロスの隊長、そしてあるときは学校の経営者だ。
子どもたちを育てるには金がいるからな!」
清空が、嬉しそうにケラケラを笑った。