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「甘いな。ヌルいな。
その程度の力でワシに勝てるとでも?」
フィサフィーが笑う。
「勝てるか勝てないか……
そんなの殴り続けたほうが勝つだろう?」
百道がフィサフィーに殴り掛かる。
「ステゴロの能力は、強力じゃが当たる前にどうにかすればいいことじゃ」
フィサフィーがそういうと百道の頬を杖で殴る。
「痛伝」
それを裕也がフィサフィーに移す。
「うむ、これが噂の痛伝か……
これがワシの与えたダメージの痛みか。
この程度のダメージで893の奴らは死んだのか。
弱いのぅ」
フィサフィーがそういって笑う。
「挑発のつもりかい?」
秋夫がフィサフィーを睨む。
「だったらどうする?
ワシを殺すか?」
フィサフィーが嬉しそうに笑う。
「まぁ、実力の差からして無理だろうねぇ。
だけどな」
秋夫がそういうとオトネと登を一瞬で取り返した。
「ほう?それで?」
フィサフィーが、秋夫を睨む。
「さぁて、どうしようか?」
秋夫がそういうとセロにふたりを預けた。
ゼロは、ネジを回転させふたりの拘束を解除した。
「戦力がふたり増えたでますね」
オトネも笑う。
「……そうじゃな。
だが、だからどうした?」
百道が拳を構える。
「やべぇな。
こりゃ」
健太も足を整える。
「どうする?この殺気……
俺らは確実に殺されるぞ?」
「……とりあえず逃げようか?
僕たちの目標は達成した」
吾郎がそういうと灰児も頷く。
「ヒット・アンド・アウェイってやつだな」
「悔しいけど仕方がないね」
セロも頷く。
「じゃ、逃げますか」
秋夫が、そういって指を鳴らす。
するとフィサフィーの前から一同が姿を消した。
「お楽しみはこれから……ということじゃな?」
フィサフィーが笑う。
その部屋にはフィサフィーの笑い声だけが残った。