02
「起きろ!」
ドスン!
僕のみぞおちに強い衝撃が走る。
痛い……
僕は、お腹をさすりながら体を起こす。
「おはよう……」
「『おはよう』じゃない!
今、何時だと思っているの?」
今、俺に怒鳴っているのは、義姉の瞳。
義姉と言っても学年は俺と同じ。
「7時50分」
「もういっかい、殴ろうか?」
「遠慮しとく……」
俺たちは、お互いが両親を早くに失い。
同じ孤児院に預けられ……
そして、同じ里親に引き取られた。
だから、義姉。
血の繋りなんて一滴も無い。
「さっさと着替える!」
「お腹が痛い」
「仮病は、使わない!」
「仮病じゃない」
本当に痛い。
「大丈夫?」
瞳が心配そうに、僕の顔を下から覗き込んだ。
「大丈夫じゃない……」
「お腹だして、寝てるから悪いんだよ」
いや、違う。
「瞳が、殴ったからだよ」
ドスン!
頭に衝撃が走る。
「殴るとは、こういうのをいうのです」
「殴ったね!
二度も殴ったね?
親父にも殴られた事が無いのに!」
「私達に、お父さんなんていないじゃん」
沈黙が、流れる。
「時間……」
瞳がポツリと呟く。
時計を見ると、8時15分。
かなりピンチだ。
僕は、慌ててパジャマを脱ぎ捨て制服に着替えた。
階段を降りる。
リビィングに向かうと、冷めたトーストが置かれていた。
僕は、それを咥えると玄関にダッシュで向かった。