第十一話
「話がコースアウトしちゃったけど、全知全能の空間の力をなめないでよ。神痛力なんて、ちゃちなものとは違うよ。お賽銭とかなしで、考えるだけでできるんだから。これは弁ちゃん、だけのオリジナルの力。これがなければ空間創造なんてできないよ。空間と時間、つまり時空を作る能力。それが唯一絶対神の力だよ、しかし。」
「つまり、この世界、宇宙、空間、時間というか、存在そのものをあんたが作ったということなのか。」
「そういうことになるね。少しは驚いたかな、しかし。」
「信じられない。というより理解できない。たったひとりが138億年を作ったという途方もないことが。オレが女子化したなんて、ほんのちっぽけなことだったと思えるぞ。」
「そうね。ミジンコをナノレベルまで極小化したぐらいでも足りないね。物質の最小単位の電子よりも小さいかも、しかし。」
「どこまで矮小化するつもりだ。どんなに小さくなっても魂だけは相応のボリュームを確保するのが、男の矜持だ。体躯は小さくできても心の大きさには手が届くまい。オレの防御力をなめるなよ。」
「そんなチキンハートで、大きさを誇示するのは弱者の特権だね。それはすでに自分の矮小さを自分で認めた証拠だよ。つまり、大悟ちゃんの頬はすでに敗戦の北風をまともに喰らってるんだよ、しかし。」
「くっ・・・。」
「そうそう。それでいいんだよ。じゃあ、弁ちゃん、のおもちゃ、宇佐鬼大悟ちゃんの初仕事だよ。無駄な抵抗はのれんにうどの愛僕だよ。弁ちゃん、にはその手は通用しないからね、しかし。」
「すごい漢字変換だな。いや全然違う言葉になってるし。その手法は楡浬に遺伝しているようだ。愛僕って、すごく近い将来に超絶不安アピールしてるんだけど。」
「よくわかってるじゃない。じゃあ、覚悟が決まったということで、華燭の宴を迎え撃つかな、しかし。」
「バトル満載だな。」
「バトルってのは、力比べだけど、これから行われるのは、一歩的惨殺、じゃない、斬殺?斬首雑種だね、しかし。」
「一歩的雑種とか、わけわからん。」
「そういうことだよ。人間の思考では理解不能なんだよ。唯一絶対神を甘く見るんじゃないよ、しかし。」
強力な目力で、それまでの温和な空気を一気に凍り付かせた弁財天。
大悟はダンゴムシの形となって卒倒した。