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第三話

「おふくちゃんのパンツリアクションおかしいどす。いつもさかりのついた犬のようにむしゃぶりついてくれてたどす。」

「そんなことないよぉ。いつも逃げてるよね。それはダイコクちゃんの妄想という綿アメだよぉ。あっという間に存在を忘れられることが、次の売上につながるという姑息直系商売だよぉ。」

「そんなのいややわ。おふくちゃん、これよく見ておくれやす。純白オニューのできたて、はきたてパンツどす。シミひとつついたことない、洗濯未了の新鮮無菌布地どす。鑑賞用、布教用はもちろんのこと、保存用にも最適どす~!」

「いやだよぉ!そんな汚物、夢の島に捨ててきてよぉ。」

「もっと、見て見て見て見て~。でも見てくれずに、突き離されることの方が、脳髄にぐっと泥色の血流が走るのを感じるどす。どくどくどく。」

「でたぁ。猥雑な口から溢れ出る欲情のリキッドぉ。ダイコクちゃんのドMモード炸裂だぁ!」

「もっと詰ってほしいどす。いや、ぶって、打って、蹴とばして~!」

「だめだよぉ。おふくは暴力反対だよぉ。神様環境に優しいのがおふくの特技なんだからねぇ。」

「そうやって、引き伸ばしされることもゾクゾクするどす。」

「どう展開しても、ドM沼から抜け出せないよぉ。」

「福禄寿よ。大黒天の腰巻なぞ放置して、このババのセクシーさを堪能するとよいぞ。」
 福禄寿の右隣にいる古臭い灰色ローブの女子生徒から声がしてきた。それに目を眇めて反応する福禄寿。しかし、その視線は短いローブの裾から見える絶対領域に貼り付いている。

「1歳年下なのに、自分で年寄り臭くするのはやめろと言ってるのにぃ。近頃の若い子は不出来だねぇ。」

「137億9,999万9,999歳まで一緒ではないか。1年なんてゴミみたいな差じゃろ。」

「そんなことないよぉ。何百億年経っても、1歳の差は変わらないんだよぉ。永遠不滅の1年なんだよぉ。だからコトブキちゃんは、ずっと妹属性キープしないとねぇ。」

「このババが妹とは、情けないのう。ならばせめて、これを凝視してくれ。いやほんのチラ見だけでもいいぞ。」
寿老人はグレーの裾をめくった。真っ黒の大人っぽいセクシーパンツの一部分が、挑むように顔をのぞかせた。

「うわあああ。コトブキちゃんのぴちぴちパンツだぁ。破壊力はバズーカ砲並みだよぉ。眩しくて目がつぶれるよぉ。」

「あんまり見るでない。て、照れるではないか。オトメのハートはバリケードなんじゃ。」

「若い子はそんな死語ギャグを使っていけないよぉ。それにそんなはしたないことをするのはまだ早いよぉ。コトブキちゃんは、大人の階段登るには家賃が高いんだよぉ。」

「セリフと行動が真逆に感じるのは気のせいかのう?」
 福禄寿の頭は寿老人のローブにすっぽりと覆われている。

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