12歳の時に婚約者が決まった。
婚約者は20歳のクレイン・ウィルクス次期公爵様。
お父様に連れて行かれて、ウィルクス公爵邸に行くと、公爵様に紹介されたご子息は見目麗しく、銀髪に私と同じ深い緑の瞳に眉間にシワを寄せ、唇はうっすら真横に開き固まっていた。
身長差は何十センチ?というくらい背が高く、ただでさえ小柄な私とはどう見たって釣り合わない。
「どうした、クレイン?エステルが可愛くて言葉もないか?」
「そ、そうですね。可愛らしいお嬢様で…」
「そうか、気に入ったか。クレインも可愛いと思うか」
そして、12歳で20歳のクレイン様との婚約が決まった。
しかしクレイン様は隣国に仕事を兼ねた留学に行くことが決まっており、1ヶ月後には隣国に行ってしまわれた。
それでも、二人の手紙のやり取りは続き、婚約という縁は切れることなく年月は経っていく。
その間にお父様は他界し、ウィルクス公爵様も他界する。
お父様達のいなくなった私は使用人達から小娘扱いをされ、嫌がらせを受け始めていた。
そして、やっと帰って来たクレイン様は…。
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