妖精さんのお仕事
思い出を回想していると、スネークは咳払いをした。
いけない、回想シーンに没頭するところだった。
「おまえさん、妖精共のもう1つの仕事知らんだろう?と、言うより彼女達が何故掃除の妖精と呼ばれているか知ってるか?」
・・・今日のヘビちゃんはいつになく語る。
「へびちゃんって言うな!」
あ、彼女達がスネークの事をヘビちゃん、と呼んでいるクセが移ってしまった。
「妖精達はお部屋の片付けをしたり、ゴミ捨てに行ってくれたりする訳じゃないだろう?」
確かにそうだ。
突散らかしたままだったり、逆に彼女達に悪いなぁと思って自分が片付ける事の方が多くなった気がする。
「奴らが掃除をするのは部屋じゃあない。あんたとか、他の人間の負の感情なんだよ。」
・・・負の感情?
「そう。怒り、憎しみ、悲しみ、怯え。誰もが心に抱くシコリみたいなモノを奴らがほうきやハタキ、モップで毎日掃除するのさ。」
そうだったのか。
確かにえるのさんがうちに来てから何かが違ってきたとは感じていたんだ。なんとなくわかった気がしていたけど具体的にはわからなかった。
「そして、強大なジャムが出てきた時に妖精共一致団結して闘いに行く」
ジャム??
「食べ物のジャムじゃない。似ているけどな。」
「人間の煮詰まったドロドロとした負の思念体だ。煮詰まって煮詰まってトコトン煮詰まってしまうと人間の思考自体も乗っ取られちまう。そうなると妖精のハタキやホウキじゃどうしようもない。そこで外科手術が要るのさ。」