理想の彼氏
目の前には俺の彼女が眠っている。
可愛くて優しくて素直で純粋。誰もが羨む理想の彼女だ。
そんな彼女の隣を歩く俺はやはり理想の彼氏でなければならない。
そのため俺は絶え間ない努力をした。
ファッション、肉体改造、教養、経済力。
あまり大きな声じゃ言えないが顔も少しいじっている。
だが、一つだけ悩みがある。それは俺の身長だ。 175センチと言えば男の中ではスタンダードな方ではある。
しかし問題は彼女の身長が高いことだ。
ヒールを履くと並んでしまう。
理想の恋人同士の身長差は15センチ。これを実現するため、骨盤を矯正したし、成人だが牛乳も飲んでみた。
しかし効果はない。身長ばかりはどうしようもないのだ。
俺は悩んだ。理想の彼女と付き合い続けるために、俺たちはあらゆる理想を現実化しなければならない。
身長差が致命的となりいずれは破綻なんてこともあるだろう。
理想でなければ。理想ではなければ。理想ではなければ。
そうか!
・・・・
目の前には最愛の彼女が眠っている。
睡眠薬で眠らせ体を縛り付けた。仮に起きたとしても暴れることはないだろう。
俺の手にはノコギリがある。
もう俺の身長は伸びることはない。
それなら…
相手の身長を削れば良い。