俺と彼女の旅
「えっ!?️」
思わず声が出てしまった俺に対して、彼女は微笑みながら続けて言いました。
「だから、もう歳を取ることはないし死ぬこともないの。凄いでしょう?」
と自慢気に語る彼女に対して俺は何も言えませんでした。
何故なら、目の前にいる彼女が本当に彼女なのか自信がなかったからです。
確かに見た目は間違いなくリサさんだったのですが、
話し方や仕草などが違うような気がしてならなかったのです。
そこで思い切って聞いてみることにしました。
「あの……失礼ですが貴女は本当にリサさんなんですか?」
そうすると彼女は少し驚いたような表情を見せましたが、すぐに笑顔になって答えてくれたんです。
それはとても嬉しい一言でしたが、同時に疑問も湧いてきました。
何故彼女がここにいるのか?
そもそも何故若返ったのか?
そして何より気になることは彼女の目的です。
そこで思い切って聞いてみることにしました。
「何故、貴女はここにいるんですか?」
と聞くと彼女は微笑みながら答えてくれました。
「それはね、貴方と一緒に居たかったからよ」
そう言われてしまいドキッとしてしまいましたが、それと同時に嬉しさが込み上げてきました。
何故なら彼女もまた俺のことを想ってくれていたのだと知ったからです。
しかし、それと同時に疑問も湧いてきました。
何故若返ったのか?
そして何より気になることは彼女の目的です。
その答えを知るべく問いかけようとした瞬間、彼女が先に口を開きました。
「私はね、ずっと昔から貴方のことが好きなの」
そう言いながら優しく微笑む彼女に対して、俺は心が穏やかになるのを感じていました。
ですがその直後、突然彼女が真剣な表情になり俺の顔を見つめてきました。
一体どうしたのだろうと思って見ていたところ、急に顔を近づけてきたので驚きながらも慌てて避けてしまいました。
その行動に彼女は少し残念そうにしていましたが、すぐにいつもの笑顔で笑いかけてきました。
そんな彼女を見ていると何故か心がドキドキしてしまいます。
(これが恋ってものなのかな?)
そんなことを考えていると今度は彼女が話しかけてきてくれたんです。
「あのぉ、もしよろしければこの後お食事に行きませんか?」
と言ってきたのでもちろん断るはずもなく、喜んで了承することにして二人で街へ出かけることにしました。
その道中も会話が途切れることなく楽しい時間を過ごしながらレストランに到着しました。
そこで食事をしながら色んな話をしていました。
「あの……リサさん。一つお聞きしたいことがあるのですが、いいでしょうか?」
と聞くと、彼女は微笑んでくれました。
「うふふ、勿論いいわよ」
そう言ってくれたので質問してみることにしました。
そして彼女が魔王を倒したはずなのに今も尚、生きている理由を聞くことにしたんです。
すると、彼女は少し考え込んでいましたが、やがて口を開きました。
「う~ん、なんて言ったらいいのかなぁ?
実はね、私にもよくわからないの」
と困ったように笑いながら答えたんです。
それを聞いて俺は戸惑ってしまいましたが、その後も色々聞いてみたところ結局わからず仕舞いで終わってしまいました。
ただ一つだけ分かったことがあったので、それを聞くことにしました。
それは彼女が人間ではないということだが、具体的に何なのかわからないままだった。
だが、そんなことは些細な問題でしかないと思っていたので、それ以上深く考えることはしなかったのです。
そしてその後は、宿に戻ることになったんですが、部屋に戻るなりいきなり抱きつかれてしまいました。
俺は、動揺してしまい身動きが取れずにいると耳元で囁かれたのでドキッとしてしまいました。
「ねえ、このまま朝まで一緒に居ても良いかな?」
その言葉に心臓が高鳴るのを感じた俺は黙って頷くことしかできなかった。
それを見た彼女は嬉しそうに微笑んでくれたので、俺も自然と笑みが溢れてきてしまうのであった。
こうして彼女と一晩中過ごすことになったのだが、不思議と緊張することはなかったんです。
寧ろ安心感があって居心地が良いというか何と言うか不思議な気分だったんだ。
それからというものの、彼女と色々な話をしたんだが、
その内容のほとんどは他愛もない世間話ばかりだったんだけど楽しかったことだけは覚えているんだ。
まあそんな感じで夜が明けるまで過ごした後、俺達は別れたんだが、別れ際にキスをしてくれたことでますます嬉しくなったんだ。
そんなこともあってか、その日の晩は気持ちよく眠ることができたんだ。
「おやすみ、リサさん」
と呟きつつ眠りについたんだが、翌朝目が覚めると、横にいたのは昨晩一緒だった女性ではなく別の人だった。
それは若い女性で髪はピンク色だったことから恐らくアリスさんではないかと考えたところで、声をかけられたんです。
その声はリサさんのものだったからです。
どうやら彼女は俺の心を読んでいたようで、俺の心の声に応える形で話しかけてきたみたいなんです。
それで色々と話しているうちに意気投合した俺達は、今後一緒に旅をすることに決めたんです。
リサさんは、最初は遠慮していたんですけど俺がどうしてもお願いしたら折れてくれてOKしてくれたんです。
それから、俺と彼女は共に旅に出ることにしたんです。
最初の目的地は、魔王城です。
「ここが魔王城ですかぁ、思っていたよりも大きいんですね」
と感慨深げに呟いている彼女に対して俺は、
「そうだね、でもきっと中に入ればわかると思うけどかなり複雑な構造に
なっているはずだから気をつけないとね」
そう言うと、彼女も頷いてくれた。
そんな会話をしつつ中に入ることになったのだが、早速敵が現れたようだ。
その敵は全身が真っ黒な甲冑で全身を包み込んでいたのだが、何故か兜だけ被っていなかったんだ。
そのおかげで顔が見えたのだがなんとそいつは骸骨だった。
その姿を見た瞬間、俺は恐怖のあまり叫んでしまったんだ。
だけど、それが奴の狙いだったらしく奴は俺を狙ってきたんだ。