彼女は不老不死?
それは、冒険者パーティーからの脱退です。
当然仲間達は引き止めようとしてくれましたが、俺の決意が固いことを知ると諦めてくれました。
ただし、条件付きでですが……その条件とは、1年後の今日必ず冒険から戻ってくることという約束でした。
俺はその約束を守ることを誓い、新たな旅に出かけるのであった。
その後、仲間と別れを告げた俺は旅立つことになった。
それから三年の月日が経ったある日、俺はようやく勇者の塔に辿り着くことが出来たが、
それと同時に仲間の別れ際の言葉を思い出すことに成功したのであった。
仲間達は皆、俺の身を案じて反対していたことを思い出した俺は、
必ず魔王を倒して帰ってくることを心に誓いつつ中へと入るのであった。
勇者の塔の中に入るとそこは、天井が高くて開放感のある造りになっており、
床には美しい大理石のような素材で出来た床が敷かれていて歩く度に心地良い感触を与えてくれます。
壁も石ではなく何かしらの金属で出来ており、触るとひんやりとして気持ちが良くてまるで
高級宿屋にいるような雰囲気を味わうことができます。
そして奥に進むと巨大な扉がありましたが、そこには扉が左右にスライドする仕組みになっているようで、
自動ドアみたいでした。
その光景を見た俺は感動を覚えつつも、いざ先へ進もうと扉を開けた瞬間、目の前が真っ暗になりました。
気づいた時には既に遅く、周囲には誰もおらず孤独感に苛まれていたのです。
何故こんなことになってしまったのか分からず途方に暮れていたのですが、
しばらくするとどこからか声が聞こえてきたのです。
その声は聞き覚えのある声でしたが、それが誰なのか思い出せず戸惑っていると今度ははっきりと声が聞こえてきました。
それは、一緒に旅をしているはずの仲間である仲間の声だったのです。
ホッと胸を撫で下ろした瞬間、目の前に一人の人影が現れました。
そしてその姿を見た瞬間、俺は驚きのあまり言葉を失ってしまいました。
何故ならそこにいたのは俺の仲間ではなく、何故か見知らぬ女性が立っていたからです。
しかも彼女は下着姿だったんです。
「やっと来たわね、待ちくたびれたわ」
そう言って微笑む彼女の姿を見た瞬間、俺はドキッとしてしまいました。
なぜなら目の前にいる女性は紛れもなく本物の女性だったからだ。
しかもとても綺麗な容姿をしていて見惚れてしまうほどだったが、
今はそんなことをしている場合ではないと思い直して彼女に問いかけたのだ。
「何故君がここに?」
と聞くと彼女は笑いながら答えたのだ。
その笑顔を見た瞬間、何故か懐かしさが込み上げてきた俺は思わず泣きそうになってしまったのだが、
すぐに気を取り直して再び問いかけたんだ。
そうすると今度は別の声が聞こえてきたので、振り返るとそこにはもう一人の女性が立っていたのである。
それもまた見覚えのある人物であった為、俺は嬉しさのあまり涙を流すことになったのだった。
その女性は俺と一緒に旅をしている仲間の一人で、名前をアリスというんです。
そんな彼女の姿を見て安心していたのですが、次の瞬間には驚きのあまり固まってしまったのです。
「私もいますよ、勇者様!」
アリスに続いてもう一人の女性が飛び出してきたのです。
しかもその人は俺のよく知っている人で、名前をユナと言い、
彼女もまた一緒に旅をしている仲間の一人でした。
そんな二人の姿を見て安心したのも束の間、次の瞬間にはもう一人別の人物が現れたので驚いてしまいました。
それは、俺が旅に出る切っ掛けとなった人物であり、今では俺にとって大切な存在になっている女性でもあったからです。
そう、彼女の名はリサといい、現在、魔王城で囚われの身となっているはずの人だったのです。
その彼女が何故ここに居るのか?そして今何をしているのか?
色々と聞きたいことがあったのですが、まずは無事だったことに安堵しました。
その後、お互いに近況報告をし合った後、本題に入ることになったのですが……その前に気に
なっていたことを彼女に聞いてみたところ、意外な答えが返ってきたのです。
「ああ、それなら大丈夫ですよ」
と微笑む彼女を見て安堵していたのですが、それと同時に違和感も感じていました。
何故なら、目の前にいる彼女の姿が以前と違うように感じたからです。
まず髪の色が違うことに驚きましたが、それ以上に驚いたのはその体型でした。
以前より痩せて細くなっていたからです。
何故、こんなことになっているのか気になったものの、今はそれどころではないと思い直し話を続けることにしました。
しかし、そんな俺のことを見ていた彼女は突然クスクスと笑い出したのです。
どうして笑っているのか分からなかったので聞いてみることにしたのですが、彼女は笑いながら答えてくれたんです。
「だって貴方が余りにも真剣に聞いてくるから可笑しくてつい笑ってしまったんですよ」
と言われてしまいましたが、それでも何故か彼女が元気な姿でいることの方が嬉しかったので気にしないことにしました。
その後、お互いの情報交換を行いました。
俺の近況報告を聞いた二人は凄く喜んでくれましたし、特にリサさんは凄く嬉しそうでした。
でも、ただ一つ問題があったんです。
それは、俺が魔王討伐の為に旅立った理由であるはずの勇者の塔が完成してしまっている点です。
つまり、魔王城に着く前に目的を果たしてしまったのです。
そんな状況でどうやって魔王を倒すつもりなのかと悩んでいましたが、
今は考えても仕方ないと思い、とりあえず次の目的地を決めることにしたのです。
そこで話し合いの結果、ここから一番近い街に向かうことにしました。
それから数日後、無事に街に辿り着いた俺達は宿屋に向かい休むことになりました。
しかし、そこで事件は起きてしまうのです。
翌日、目覚めると隣には見知らぬ女性が寝ていたのです。
「誰っ!?️」
驚いた俺は、慌ててベッドから飛び起きました。
そして周囲を見渡すと、そこは宿屋の一室だと気づいたのですが、
それと同時に信じられない光景を目の当たりにすることになったのです。
何故なら目の前にいた女性が俺に向かって話しかけてきたからです。
しかも、その声は聞き覚えがあるものでした。
彼女は言いました。
「あら? もう起きたのね」
と言って微笑む彼女の顔を見た瞬間、俺の心臓がバクンッ! と跳ね上がるような感覚に襲われて、
全身の血が逆流するかのような錯覚に陥りました。
そんな彼女の姿を改めて見ると、その姿は紛れもなく彼女そのものでした。
それも以前の姿ではなく若返った姿で現れたので驚きを通り越して茫然としてしまったのです。
そんな俺を見て彼女はクスクスと笑った後、更に驚くような言葉を口にしたのです。
「実はね、私不老不死になっちゃったのよ」