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奴隷として

「ごめんなさい、苦しかったですよね? 大丈夫ですか?」
と心配する彼女に大丈夫ですよと答えてから立ち上がり、
改めて周りを見渡せばそこには美しい景色が広がっていました。
どうやらここは森の中にある湖畔のような場所だったらしく、
水面に映る自分の姿を眺めているうちに何だか心が落ち着いてくるような気がしたのです。
それは隣にいる彼女も同じだったのか穏やかな表情をしていましたが、
突然彼女が何かを思いついたように口を開いたのです。
そして、こう言ってきたんです。
「ねえ、せっかくですし泳ぎませんか?」
それを聞いた俺は喜んで賛成しました。
早速服を脱いで水着姿になり、準備体操を終えた後水の中へと入っていったのですが、
これがまた気持ち良すぎるんです。
もう最高です。
そんな感じでしばらく泳いでいたのですが、そろそろ飽きてきたので陸に上がることにしました。
しかし、そこで事件は起きたのでした。
なんと彼女の姿がどこにも見えなくなってしまったのです。
不安になってキョロキョロと周囲を見渡していると、背中に柔らかいものが押しつけられる感覚に襲われた。
どうやら彼女に後ろから抱きしめられているようであることが分かると安心して、
振り向き様に彼女の方に体を向けるとそのままキスをすることになりました。
唇を離した後見つめ合っていると、彼女が微笑んできたので思わず照れ笑いしてしまいましたが、
それもまたいいものだと思いました。
その後二人で湖の中を探索して回りましたが特に変わった物は見つからず、
仕方なく帰ることにしましたが、その帰り道の途中で彼女が突然立ち止まりましたので
不思議に思っているうちに彼女は静かに目を閉じてきたため俺はそれに応えるように唇を重ねました。
そして暫くしてから唇を離すと同時に彼女は微笑みながら言ったのです。
「私、貴方のことを愛しています」
そう言った彼女に対して俺も自分の気持ちを伝えようとした瞬間、
急に辺りが真っ暗闇に包まれてしまい何が何だか分からなくなってしまったのですが、
それでも必死になって手を伸ばしていたら彼女が手を握ってくれたから安心できました。
それから彼女と手を繋ぎながら歩き続けていると前方に明かりが見えたような気がしたので
近づいてみたら開けた場所に出たようなので安心したんですが、
その直後に背後から足音が聞こえてきたかと思うと振り向くとそこには屈強な男達の姿があったのを見た瞬間、絶望感を抱きました。
彼らは笑いながら俺を拘束してから何処かへ連れて行こうとしていたんですが、その時不意にどこからか声が聞こえてきたのです。
しかも、それは聞き覚えのある声でしたので驚きましたがすぐに落ち着きを取り戻していました。
何故なら声の主は自分のよく知っている人物であり誰よりも信頼のおける人物だったからだからです。
ですが、状況は最悪なままで抵抗しても無駄だということを悟った俺はただ黙ってついていくしかなかったのだが、途中で気が変わってしまいました。
「ごめんなさい、今までありがとうございました、
これからは俺一人の力で何とかしていくので心配しないで下さいね」
そう告げると彼女は驚いた顔をしましたがすぐに笑顔になりました。
それから暫く歩いているうちに目的の場所に到着したらしく俺は、
そこで初めて自分が置かれている状況を理解することになったのです。
それは、俺がこれから奴隷として生きていくことが決定した瞬間でもあったのです。
そして俺は今、とある屋敷の地下牢に監禁されている最中であるのだが、
何故こんな事になってしまったのかと言うと理由は一つしかない、全てはあの声の主のせいだという事だ。
しかし、今となってはどうでもいいことだしどうでもよく感じるようになったのだ。
何故ならば今の俺の頭の中を占めているのはこの絶望的な状況に置かれながらも
生き長らえる為の唯一の希望でもある彼女だけなのだから……そう、彼女さえいれば何も要らないし必要ない、
たとえ地獄の底だと思えるような場所でも彼女と二人なら乗り越えられると思っているから。
だからこそ、俺はここで生き抜くことに決めた。
何があっても諦めずに祈りを欠かさず唱えようと思っていたその矢先、唐突に牢屋の扉が開き誰か入ってきたのです。
それはなんと、 俺を奴隷として買う権利を持っている商人だったんです。
彼はにやにや笑いながら近付いてくるといきなり俺の胸元を掴んできて顔を近づけてきて言ったのです。
「お前、大変だったんだぜ? 俺の配下がこの街で色々な盗みを働いていたらしくてな、
お前の言っていた人物の事を知ってその場所を訪れたらお決まりのパターンだった訳だ。
それこそ、衣服を脱がされてそいつに覆いかぶさられていたぞ……可哀想だよなお前も」
そう言われた俺は思わず固まってしまっていたが、それでも何とか反論しようとしたのだが、
すぐに遮られてしまい何も言えなくなってしまいました。
そうすると彼は俺に向かってこう言ったのです。
「まあ良いじゃないか! どうせこれからお前は奴隷として生きていくんだし、それならいっそのこと楽しんだ方が得だろ?」
そう言いながら俺に覆い被さってきたかと思うと首筋に吸い付いてきました。
「くっ、やめろ! 俺は奴隷としては嫌だ! ここから出てやるよ!」
「おいおい、急に元気になりやがって抵抗は無駄なのに……こうなったらもっと酷い目に遭ってもらうぞ」
と言って不敵な笑みを浮かべてくる奴だったが、彼はすぐに誰かがやってきた気配がする部屋の中へ走っていってしまったので
俺もその後に付いて行くことにしたんだ。
そしたら、部屋の中にいたのは金色の髪に青い瞳を持った美人だったが、
彼女もまた俺と同じような状況であり衣服を身につけていない状態だったんだ。
その事実を知った俺は驚きを隠せなかったんだが、同時に興奮してしまっていたのも事実だった。
何故なら目の前にいる女性は俺の好みにピッタリだったからだからだ!
そんなことを考えていると突然彼女が近づいてきて俺に跨ってこようとしたので、
慌てて制止しようとしたんだけど無駄だったので諦めるしかありませんでした。
そして、そのまま押し倒されて唇を奪われた瞬間意識が朦朧としてきたのと同時に身体から力が抜けていきました。

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