第49話 対法術師銃器
アメリアがさらに話を続けようとするのを無視してかなめは更衣室のある二階へ上がる階段を上ろうとした。だが、降りてきた技術部小火器管理担当の下士官の姿を見て足を止めた。
「アタシのチャカ。上がったか?」
かなめらしい銃を気にする様子に誠はなぜだか安心感を感じていた。
「ええ、出来てますよ。皆さんの銃も弾を対法術師用に変えますから、会ったら伝えておいてください」
「分かった」
自分の新しい銃が完成したと聞いてかなめの声は弾んでいた。
「ああ、そう言えば班長は?」
彼がそう言うと遅れてきたカウラがハンガーの入り口を指差した。そこにはなぜかランに頭を下げている島田とサラの姿があった。
「なんだ?アイツに小火器関連の担当のお前が話があると言ったら……決まってるか……島田は銃器をあまり使わないからな」
かなめの言葉に下士官はそのまま階段を降りてランのところへと走った。その姿と誠達を見つけてランが一階の奥にある技術部の部屋を指差した。
「銀の弾丸でも支給してくれるのかね」
そんな茶化すようなかなめの言葉だったが誠は冗談には受け取れなかった。
昨日、誠が手をかけた法術暴走で再生能力が制御できなくなり、化け物と化した法術師。その姿を見れば一般の武器で対応することが出来ないことは容易に想像ができた。
下士官は二言三言ランから話を聞くと誠達のところに走って来た。
「とりあえず火器管理室に集合だそうです」
そう言って下士官は再び技術部の班ごとの部屋が並ぶ廊下へ駆け込む。それを見ながらカウラは目で誠についてくるように合図するとそのまま下士官の消えた火器管理室に足を向けた。
下士官について火器管理室に入った誠に、職人じみた顔の初めて見る下士官達が目に入った。
「ちょっと待っててくださいよ、西園寺さん。西園寺さんの銃はひと手間隊長が加えたとか言ってたんで。何をやったかは見てのお楽しみと言うことになります」
そう言って誠には何に使うのか分からない機械の間をすり抜けて火器担当下士官は姿を消した。