第10話:文化祭
「それでぇ、雄太はその話を俺に聞かせて自慢でもしたいのか?」
ケントは心底不機嫌に言いながらクラスの出し物の当番を僕と一緒にやっている。
クラスの出し物はなんてことない、郷土研究の発表会。
地元の歴史や名所を取材してそれを張り出して発表すると言う地味なモノだった。
まぁ、みんな手間かけたくないし、学園祭を楽しみたいからサクッとお茶を濁した感じだ。
その代わり順番でこうして来客の接待をする。
とは言え、パンフレットを配ったりするくらいで来客もぽつぽつ程度。
暇な留守番って感じ。
「いや、あれからいろいろ考えたけど誰かを選ぶなんてことできないよ……」
「お前なぁ、そんな贅沢な状況を俺に聞くか? 三人ともお付き合いしたいわ!!」
ケントに相談しても決定打はない。
でも今日の夕方にある全校生参加のフォークダンスには誰かを選ばなきゃならない。
もう時間も何もない。
あせる僕。
「なぁ、親友として一つだけアドバイスするなら、自分の気持ちに正直になるってことだな」
「え?」
「こういうのは考えれば考えるだけ決められないもんだ。その場の自分の素直な気持ちに従うのがいいと思うぜ?」
「ケント……」
僕よりモテるケントはそう言ってサムズアップする。
「羨ましいが、健闘を祈る」
「う、うんっ!」
ケントのそんなアドバイスで僕は改めて誰を選ぶか決心をするのだった。