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最終話:ウザい幼馴染たちに翻弄される僕


「雄太、決めたアルか?」

「雄太君~」

「ゆ、雄太決めたのね?」


 今僕は三人が待つ校庭で、フォークダンスの相手を選ぶことになる。
 それは幼馴染の三人の中から彼女として選ぶ事、という事でもある。


「えっと、リンはいっつも明るくて物事をはっきり言って、小さなときは僕がいじめられているとよく助けてくれたよね」

「雄太アル……」

 一瞬明るい顔をするリンだけど、僕が言葉をつづけると黙り込む。


「フランはすっごくマイペースなくせして、僕の事だけはいつも最優先してくれてよね? 小学生の時に僕の為に他の子に砂場を使わせないためにずっと公園で待っていてくれたの覚えているよ」

「雄太君?」

 フランソワーズはうるんだ瞳で僕を見る。
 その表情にはやはり困惑の色がにじんでいた。


「シアは、スキンシップが強すぎだよ。はっきり言って中学くらいからドキドキさせられていたんだよ? その、胸とか押し付けるから…… でも、シアはいつも僕にだけは隠し事しないでいろいろ接してくれたよね」

「なっ! ゆ、雄太ってそんなこと思ってたの/////? スケベ! でも、雄太ならいいんだけど///////」

 エンデルシアは顔を赤くしながら自分の胸を両手で隠すも、まんざらな感じではなかった。


 三人とも僕にとっては大切な幼馴染で、そして魅力的な女性だ。




 だから……




「僕の答えは……」

 そう言って手を伸ばす先に三人は唾を飲みこんで待つ。


「ケント、うちのクラス男子が余っていて相手がいないから僕と踊ろう!」




「「「はぁッ(アル)!?」」」




 僕がつかんだのは隣で様子をうかがっていたケントの手だった。

「お、おい雄太ぁ!?」

「速くフォークダンスに行こう!!」

 僕はケントの手を引っ張ってみんなが躍る輪の中に行く。

 当然後ろではリンやフランソワーズ、エンデルシアの怒声が上がる。
 でも、やっぱり三人のうちの一人を選ぶなんてできない。


 だから今は!



「雄太のばかぁアルぅっ!!」

「雄太くぅ~んッ!」

「ゆ、雄太ぁ!! ちょっとこっち来なさいよぉッ!!」


 
 ウザい幼馴染たちはみんなが躍るフォークダンスに騒ぎながらやってくる。
 でもそんな三人の顔はなぜか笑顔だった。

 もう少しだけこのままでいてもいいよね?
 僕も笑顔になるのだった。



―― 失恋中なのに隣の幼馴染が僕をかまってきてウザいんですけど? ――

おしまい☆彡

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