第5話:ラブレター事件
「雄太、相談があるアルね」
リンが僕の家に来ていた。
と言うか、親もこの三人は小さなころから勝手に入ってもらっているので、いつも勝手に入ってくる。
「リン、一応僕も高校生になるんだけど?」
「だから何アルね?」
「その、プライベートというか、そういうの気にしてもらえないか?」
「はッ!? ま、まさか雄太は私をおかずにいやらしいことしているのかアル!?」
「しません! ましてやリン相手じゃそんな気持ちにすらならないって!」
「にゃにおぅ~アルね!!」
そう言ってリンは僕の頭を抱え、ヘッドロックをしてくる。
「痛い痛い! やめてってば!!」
「キャっ、アルね!」
あまりに悪ふざけするから、ちょっと力を入れて抵抗したら小柄なリンはあっさりと僕のベッドに倒れ込んだ。
昔は体格差がほとんどなかったから、プロレス技とか食らうと振りほどけなかったのに。
どさっ!
「あっ、アルね///////」
しかしそれでも僕もバランスを崩してリンの上に覆いかぶさってしまった。
「いつつつつ。あ、ごめんすぐにどくね」
「う、うんアル///////」
なんか顔を赤くしてしおらしいリン。
こんなリンって初めてなんじゃないかな?
僕は椅子に座りなおしてリンに聞く。
「それで、いったい何の用だよ?」
「ああ、そうアルね! 実はこんなの貰ったるね!!」
そう言ってポケットから一通の手紙を出す。
そこには「李リン様へ」と書かれていた。
「えーとこれって……」
「ラ、ラブレター見たいアルよ」
「ふーん、それで中見たの?」
「見たアル。でもどうしたらいいかアルね?」
「いや、どうしたもこうしたもリンがしたい様にすればいいんじゃないかな?」
「雄太、それ本気で言っているアルか?」
急に不機嫌になるリン。
しかしラブレターもらったならもらった人がしたい様にすればいいのでないのかな?
「雄太は、その、私のことどう思ってるアルね///////」
「え? リンは強気でわがままで人の言うこと聞かな幼馴染なんじゃ?」
「雄太! それ本気で言っているアルか!?」
「ほかにどう言えと……」
率直にそう答えたたリンがふるふると下を向いて肩を震わせている。
いったいどうしたんだろう?
「雄太の、雄太のばかぁーっアルねッ!!!!」
どバキッ!
「ぐはっ!?」
リンはいきなり僕を蹴り上げそのまま部屋から出て行ってしまった。
僕はけられたお腹をさすりながらリンがいなくなった扉を見るのだった。