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それから、早坂さん特製の激うまオムライスをご馳走になり、その後は映画を観てまったりと過ごした。おばあちゃんとのババ抜きは10回やって断念した。こんな"茶番劇"があるだろうか。おばあちゃんは勝つまで粘りたかったみたいだが、その可能性は皆無だ。かと言って、わざと負ける事もしないが。
今度わたしが来るまでに、早坂さんが別のゲームをレクチャーしておくということで話はついた。
そこまではよかったのだが、問題はシャワーを浴びて、時刻が0時を迎えようとした時だった。
そろそろ寝ましょうかと早坂さんに促されたのはいいが、わたしは一体、何処で寝れば?
さっきは成り行きで一緒に寝たものの、こうとなっては話が別だ。
「あの、早坂さん。わたしここで寝ますね」
早坂さんはキッチンで水を飲みながら、キョトンとわたしを見た。
「ここでって?」
「え、ここです」わたしは自分が座っているソファーを叩いた。
「させると思う?」
「まったく問題ありませんよ。なんならウチのベッドより広いし」
「あー、そっか・・・」独り呟き、早坂さんは何か考え込んだ。「あたしがソファーで寝てもいいんだけど、病人じゃない?」
「え?はい」 わたしが代わりにご飯を作ると言った時、病人扱いするなと言われた気がするが。
「客間にベッドはあるんだけど、シーツも洗濯してないのよね」
「別に気にしませんよ?」
「駄目よ。ダニは至る所にいるし甘く見ると危ないのよ」
「・・・はあ」
「だから、あなたの寝る所は1つしかないのよね」
「・・・おばあちゃんと一緒でもいいんですが」
「美麗ちゃんの布団は子供用よ?それにもう少ししたら地鳴りのようなイビキかき始めるけど」
「・・・じゃあ、わたしは・・・」
「雪音ちゃん、何もしないから。まあ、説得力ないと思うけど」
「・・・あい」
就寝場所は決まっていたようだ。
何もしないと言われて、少し残念だと思ったのは──バレていないはず。