バナー画像 お気に入り登録 応援する

文字の大きさ

反撃2

『いいかい、レティシア。僕から絶対に離れちゃだめだよ?僕がレティシアを必ず守ってあげるからね?』
「ありがとう、チップ。頼りにしてるわ」
  
 レティシアは肩に乗って、小言を言い続けている愛しい相棒に頬ずりをした。

『ちょっとレティシア、真面目に聞いてよ。レティシアの事だから、敵だって殺せないとかいうんでしょ?だからね、相手を斬っても虫の息くらいで止めといて?そうすれば僕が敵を治癒魔法で動けない程度まで治してあげる。そしてね、もしレティシアがケガしても何とか虫の息で生き残って?そうすれば僕がレティシアを治癒させられるから!』
「・・・。わかったわ、チップ。肝に銘じておくわ」

 レティシアはブルリと身体を震わせてから返事をすると、怒号の聞こえる場所まで走った。

 レティシアが草をかき分けて平地に出ると、ザイン王国軍の兵士とゲイド軍の兵士が戦っていた。三人一組といっていたのに、どうやら仲間と離れてしまったようだ。

 レティシアが見るに、ザイン王国軍の兵士は、ゲイド軍の兵士に押されているようだ。ここで剣技のいまいちなレティシアが助けに入れば邪魔になってしまう。

 レティシアは機会をうかがいながら、剣を交えている兵士の側までよった。

 とうとうザイン王国軍の兵士がゲイド軍の兵士に押され、仰向けに転倒した。ゲイド軍の兵士は勝利を確信し、剣を大きく振り上げた。

 今だ。レティシアは水の剣を発動させ、水の激流をゲイド軍の兵士に放った。ゲイド軍の兵士は水流に押され、吹っ飛んで気を失った。

「大丈夫ですか?!」
「レ、レティシア嬢。ありがとうございます」

 レティシアがザイン王国軍の兵士を助け起こすと、彼は目を白黒させながら礼を言った。見ればずいぶんと年若い少年だった。レティシアと少年兵は、倒れているゲイド軍の兵士を縄で拘束して、他の二名の仲間を探した。

 しばらくすると四人の兵士たちの戦いの場に遭遇した。どうやらレティシアが助けた少年兵とチームを組んでいた兵士たちのようだ。

 二人のザイン王国軍の兵士たちは、ゲイド軍の兵士たちに押され気味だ。四人は近くで戦っていて、レティシアの水の剣を使えばザイン王国軍の兵士も巻き込んでしまう。

「チップ!あの人たちを助けて!」
『仕方ないなぁ!』

 チップはレティシアの肩から飛び降りると、自らの翼で空を飛び、正確無比な水攻撃魔法でゲイド軍の兵士をふっとばした。

「やった!チップ!」

 レティシアが嬉しくなって声をあげると、少年兵の悲鳴が重なった。レティシアが少年兵のいる方に振り向くと、少年兵に斬りかかるゲイド軍の兵士の姿があった。

 レティシアは反射的に少年兵の前に立ちはだかり、ゲイド軍の兵士の剣を受けた。

 

しおり