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第6話 結ばれる絆と、戦うべき敵

 「ラパンが助けてって呼んだからだよ…!」



 ラパンへ薫は微笑みながらそう言った。

 まさか、本当に奇跡が起きるなんてと、ミランは泣きそうなくらい喜んでいたが、ラパンはそうではなかった。

 ラパンのどうしてここに?と言うのは、何でこんな戦っている所に来たのかという意味だ。

 薫はこんなところに来るべきではないと、ラパンは言っていた。



 「ここは…危ない…ラパ……早く逃げるラ…パ……」



 薫は、息も絶え絶えに彼女を逃がそうとするラパンの言葉に首を横に振る。



 「逃げないよ。私、やるって決めた事からは逃げない。確かに戦うとかよくわかんないし、争う事も苦手で今も心臓のドキドキが止まんないけど、心の底から助けてって叫んでるラパンを…いやラパンたちを見捨てる事なんてできないよ」



 「か、カオル……」



 ラパンがもう一度薫の名前を呼んだ時、地面の氷の動きがピタっと止まった。

 氷の力を発動していた男は困惑した様子で、薫を睨みつけていた。

 理由は明確だ、なぜ人払いの結界に気づいて、結界の中に入れたのかである。



 「てめぇ、このガキ…どうやって結界に入り込んだ?まさかお前も妖精か?」



 男の言葉に、少し表情を強張らせてしまうが毅然とした態度を取ろうと、薫は立ち上がり、彼の目を見て返答した。



 「私は妖精じゃないですよ。私は人間界のただの人間…13歳の子供です。でもこの子たちから貰ったこの腕輪のおかげでこの場所でラパンに危険が迫っているとわかりました」



 話しながら、自分の手首についている二本の輪が複雑に絡み合ったようなデザインの白いブレスレットを、男に見せた。

 その腕輪を初めて見た様で、男は結界の場所を特定できるだけでなく、中にも入れるようにしてしまうという装置に酷く狼狽した。



 「はぁぁあ?!なんじゃそりゃ!妖精の技術にしたって、規格外すぎんだろうがぁ!ふざけんなぁ!」



 「ふ、ふざけてなんか…」



 「うるせぇ!厄介な腕輪があるなら、それごとお前らを倒せば解決だろ!」



 そう言うと男はジーンズの左右のポケットから氷漬けになった妖精と、不気味な藁人形を取り出した。



 「それって…!?」



 「よ、妖精…ミラ…!?」



 「そうさぁ!お前らが逃げたとわかったから、適当に良さげな妖精の氷を持ち帰ってよぉ…この”人形ヒトガタ”と融合させて作れる兵隊にしてたんだよ!」



 次の瞬間、男の両手から真っ黒のエネルギーが泥の様に溢れ、妖精と藁人形を包み込み、泥の山に手を突っ込んでいる様にも見える。

 一見間抜けにも映るその光景だが、男が次の言葉を唱えた時、それは決して油断できる物ではなかったと知る事になった。



 「――――――リコルド・クレシオン!」



 泥の山が黒く発光し、紫色の蒸気を発しながら泥の山の中より、昨日浄化した怪物が姿を現した。

 筋骨隆々な人型の怪物だ。違いと言えば、昨日の怪物とは膨らんでいる場所が違って、頭部が異常に腫れあがっていた。

 男は再び手を両ポケットに突っ込んで、得意げに話し始める。



 「どうだ、すげぇだろう?これぞドーン帝国随一の科学者が開発した闇エネルギーによって作られた”人形ヒトガタ”と別の物質を合体させて生まれた怪人!その名もリコルド!!素材にした生物の記憶を読み取ってそいつの能力だって使えんだぜぇ!」



 「リコルド…昨日のもそうだったんだ……ああやって、作られたんだ…!」



 「前に作ったのを倒したんだ。今回もやってみろよ、できるもんならなぁ」



 男は自分のリコルドに自信がある様で、薫たちに戦うように煽ってくる。

 薫はリコルドが作られる光景を見ていて、少し震えていたがラパンとミランに視線を移し、恐れを心の奥底に押し込めた。

 傷ついた妖精たちを見て、自分も戦わなくてはと、もう一度心を奮わせたのだ。

 だがラパンはその震えを止めた姿を見て、罪悪感をまた感じてしまった。

 

 「カオル…ご、ごめんなさいラパ…ラパンが…ラパンが巻き込んじゃって…カオルはこんな事したくないのに…ラパ…」



 「そう言うのは、全部終わってからだよ。……あのね、ラパンが私の事を大切に思ってくれるように、私だって同じくらいラパンの事を助けたいって思ってるんだよ。ラパンだけじゃない、ミランもエポンも、他の妖精たちも…きっと助けを求めているはず…そして私に助けられる力があるなら…できる事を全力でやりたい!ただ、それだけだよ♪」



 薫はニカッと歯を見せて笑う。

 それは彼女がこの町に来てから見せた初めての心からの笑顔だった。



 「か、カオルぅ…ラパン…助けたいラパ…妖精界だけじゃない、一緒に戦うカオルの事も、傍で助け合いたいラパ…!」



 「そうだね、私たち二人で一人の”大地の使徒”なんだ!一人じゃないんだ…それがどれだけ心強いか……」



 「ラパン…カオルと一緒にやるラパ!」



 「うん!」



 「おぉい!無視してんじゃぁねぇよ!やれ!リコルド!」



 薫とラパンの話で完全に蚊帳の外になっていた男は、怒り心頭でリコルドを二人にけしかけた。

 命令を受けたリコルドは、大地を蹴って一気に加速し薫たちに迫る。



 「ミラン…は…影に隠れてるミラ…!二人とも…が、頑張ってミラ…!」



 ミランはこれからの戦いに邪魔にならない様に、門の影まで頑張って飛んで行った。

 ラパンは飛んで行くミランに、「守ってくれてありがとうラパ」と告げる。彼は「そう言うのは終わってからミラ…」と笑いながら返した。



 「私たち、やるよ!」



 「ラパ!」



 薫とラパンは腕輪に指先で触れて、あの言葉を唱えた。



 「「コンドラット・アンジェストロ!」」



 次の瞬間二人の身体は眩い虹色の光に包み込まれた。



 「な、なんだ!?何が起こった!?」



 男は突然の事態に困惑する。

 リコルドはその光の柱に思い切りパンチをするが、ビクともせずなんなら弾き飛ばされて、男の足元まで転がってきた。



 光の中では、昨日と同じように薫とラパンは溶け合い一つの体になった。だが少々前と違う、もっと深く一つの存在となったのだ。

 そして呼応する様に、薫のピンクブロンドの髪色が白銀に変わり、肩ぐらいの長さから肩甲骨まで伸び、虹色の光が髪を持ち上げ長くなった髪を後頭部に団子状に纏め、団子の周囲には三つ編みで飾り付けられた。更に団子の周りには羽根の意匠の髪飾りが飾り付けられた。

 薫の着ていた服は虹色に発光し、上の服と下の服が合体し、桃色のフリルの付いたワンピースになる。虹色の光が薫の体を包むと、パフスリーブの淡い赤色のジャケットに変化し、ジャケットから雫の様に垂れた光がアームカバーとなった。

 足同士でポンと音を鳴らすと、虹色の光が靴をニーハイブーツへと変化させ、羽根の飾り付けがこちらにも飾られる。

 最後に腰から一対の白い翼が生え、はためかせると薫を包んでいた光が弾け飛んだ。



 「雄大なる大地の使徒、ソル・アンジェ!!」

 《ラパ!》



 薫とラパンの変身に、男は目を見開いて再び困惑させられた。

 いったい何が起きたのか理解できなかった。

 さっきまで自分のリコルドによって人間と妖精を恐怖させられていたはずなのに、闇エネルギーという全てにおいて最強の力を持っているはずなのに、目の前の人間の瞳は真っすぐこちらを見ているのか、恐怖ではない勇気を持った目をしているのか。

 今目の前にいる羽の生えた小娘が昨日自分のリコルドを倒したのか?あんな一秒も自分の動きを止められない様な妖精と合体した人間に?

 男には信じがたい事であった。



 「な、なんだそりゃ…」



 「妖精界に伝わる伝説の使徒、アンジェストロ!らしいですよ」



 聞かれたら真面目に返答するソル。何でもない事かの様に返された男は、いつの間にかポケットから手が出ており、強く拳を握っていた。



 「アンジェストロ…!?実在したってのか…?くそっ!オラ、早く行けリコルド、伝説が何だ!ぶっ倒して、伝説に返してやるよ!!」



 

 男は転がっているリコルドを蹴り起こし、もう一度ソルたちに向かわせた。

 このリコルドも昨日の個体と同じで、何も武器などは持っていない個体で、パンチやキックの絶え間ない攻撃がメインだった。

 ソルは身構え、昨日と同じように盾でいなして浄化をすると決めた。

 だが、今日のアンジェストロは違った、より深くラパンと薫が一つになった事でより完璧なアンジェストロとなったのだ。

 それ故に、昨日はわからなかった盾を出す能力の名前も自然と頭に浮かんできた。浄化技を出す時に技名が頭に浮かんできたように。

 自然と手を前に突き出して、二人は共に唱える。



 「ソル・スクード!」



 現れた薄桃色の楕円の盾は、昨日の様に平らではなく、少し中央が膨らんでいるような形をしていた。

 この形による効果はリコルドの拳が盾にぶつかった時に知る事となる。



 「ぐっ!って、あれ?」



 昨日の衝撃を予想していたソルは何時までも来ない重いパンチに咄嗟に瞑ってしまった瞳を開いた。

 そこには、パンチが当たったところがソルの目と鼻の先まで盾が伸びていた。

 なんと、盾の柔軟性が上がっていたのだった。



 「な、なにこれー!?」



 もう、ソル自身も驚きである。

 パンチが効いていないと分かったリコルドは一度距離を取りもう一度勢いをつけて今度はキックを繰り出した。

 足で思い切りソルを横なぎに蹴り飛ばそうとした。

 しかし、ソルは前に突き出していた両手を下ろしていなかったため、盾は出たままになっていた。



 「さぁ、こーい!」

 《どんと来いラパ!》



 気合を入れて、リコルドの攻撃を真正面から受け止める。

 やはり盾は破れる事は無く、ゴムの様に伸びてリコルドの足はソルまで届かなかった。

 更にさっきより勢いがあったからなのか、盾が元の形に戻る力によって、リコルドを弾き飛ばした。



 「なっ……クソっ!わけわからん力を使いやがって!リコルドぉ!遊んでねぇでさっさと倒せぇ!」



 男は言葉を話せぬリコルドに檄を飛ばす。

 リコルドはのそのそと、立ち上がりソルに向かってファイティングポーズをとる。



 「弾いちゃった時は焦ったけど…意外とダメージは少なかったみたい…よかった…」

 《でも盾の性質が変わっちゃったって事は、前みたいにいなせないラパ?》



 「いや、きっといなす力だってあるはず……そうだ!浄化技を使う時みたいに、フェアリニウムをコントロールできれば…!」

 《いいアイデアラパ!早速やってみるラパ!》



 未だにフェアリニウムが何なのかよくわかっていないソル…というより薫だが、前回やってみたら上手にいなす事ができた事が自身に繋がっていたようで、意気揚々とリコルドの次の攻撃を待った。

 リコルドもソルが構えた事を察知したのか、踏み込んで左手の大振りで殴りかかって来た。

 ソルもいなそうとしているため、ギリギリまで拳を引き寄せる。そして、いなそうとフェアリニウムを動かそうとした時、盾の時と同じように頭に名前が浮かんできた。

 ソルは咄嗟にそれがいなす技の名前だと判断し叫ぶ。



 「うおおああぉあ!ソル・メランツァーナぁ!!」



 唱えた技、ソル・メランツァーナは、リコルドの拳が触れ、通過する場所に薄くフェアリニウムの膜を張り、敵の攻撃を滑らせるようにしていなす技である。

 定型で弾性のある盾であるソル・スクードに対し、不定形で摺動性のある盾がソル・メランツァーナなのだ。

 リコルドの拳は、ソルの右手の平との間にできたフェアリニウムの薄桃色の膜に触れた瞬間ズルリと氷の上を滑るかの如く、軌道を逸らされた。

 大振りのパンチの威力をいなされたリコルドは、体勢も崩しそのままソルの左側に転んでしまった。



 「そんな馬鹿なっ!?今…何をしていたんだ…!?」



 もはや男には何が起きたかも見えていなかった。

 リコルドの渾身のパンチを食らわせて、勝ちだと考えていたのに、今倒れているのは自分の作ったリコルドなのだ。

 彼の目からはリコルドのパンチが手に触れた瞬間リコルドが倒れ込んでいる様に見えた。まるで手品でも見せられているかの様な気分だった。気持ち的には、手品であって欲しいとさえ思っていた。

 そして、攻撃を見事滑らせたソルはというと、



 「や、やったー!できた!タイミングばっちり!」

 《気持ちいーラパ!》



 大いに喜んだ。

 見計らったタイミング、そして発動できたアンジェストロとしての新しい力。

 それら全てが上手く扱えたこと、そしてそれがラパンと薫の二人が心を合わせた事で生まれた結果である事がたまらなく嬉しかった。

 だが、すぐに気を引き締めた。

 今リコルドが倒れ込み、ヨロヨロとした動きで立ち上がろうとしているこのタイミングは、素晴らしい浄化の瞬間だからだ。

 ソルはすぐさま、距離を保ち自身の胸元に手を当て、周囲からフェアリニウムを自身の手に集める。



 「はぁああ…!」



 「何だ!?なんて量のフェアリニウムを集めて……違う、これは…空気中の元素をフェアリニウムに変換している!?そんな事が可能なのか!?」



 青い光がソルに集まり、男が目も開けられないくらいの光が集束した時、手を三角形の形にして前に突き出し浄化技を大声で唱えた。



 「ソル・プリエール・クラーレ!!」



 手から放たれた、桃色の光線は真っすぐにリコルドに直撃し、内側にいる妖精を包んでいた黒い闇のエネルギーを剥がしていった。

 光線の放出が終わると、リコルドがいた場所には素材にされていた妖精が倒れていた。

 自身のリコルドの敗北を自覚した男は、急いで地面に倒れている妖精を回収しようと飛び出した。



 「クソがぁ!」



 「あっ!」

 《させないラパ!》



 少し遅れたが、ソルも飛び出した。

 だがやはり少し早かった男の方が先に妖精に手が届きそうだった。



 (どうする…!どうやったら…くっ…一か八か…やってみよう…!)



 咄嗟にソルは左手を前に出す。だがまだ妖精には届きそうにはない。

 彼女が手を伸ばしたのは、妖精を手に取ろうとしただけではなかった、彼女の左手が淡い桃色に輝き男の手と妖精の間に盾を作り出したのだ。それもソル・スクードの様に弾性がある物ではなく、昨日の戦いのときに使った真っ平らで固い薄桃色の盾である。



 「なっ…!?」



 その盾が壁となり、男の手から妖精の身を守り、怯んだ隙にソルによって今回のリコルドにされた妖精は保護された。

 彼女が一か八かだだと考えたのは、自分の前以外にも盾を出せるのか?という所である。これまでは角度を変えたり、弾性を持ったりなどはできていたが、そもそも目の前にしか出していなかったのだ。

 故にできるかどうかわからない咄嗟の作戦だったわけである。



 「危なかった…ふぅ…」

 《いい機転だったラパ!流石カオルラパ!》



 憔悴している妖精を抱えたソルは男から距離を取るために、その姿から目を離さないようにして後ろにジャンプした。

 男は弾かれた手を見ながら、震えていた。

 ソルはその震えている姿を、痛くて泣きそうなのかな?と一瞬呑気に考えてしまったが、すぐに違うとわかった。

 男は手を強く握り思い切り地面を殴りつけたからだ。



 「!?」

 《な、何ラパ!?》



 ソルも困惑したが、男が彼女の方に視線を向けるとビクッと怯んでしまった。男の目には凄まじい程の怒りが籠っていたからだ。



 「ソル…ソル・アンジェとか言ったか?あぁ!クソがぁ!!俺のリコルドを二体も倒しやがって!!しかも俺の前に壁を作って回収の妨害をするだぁ?舐めやがってぇえええ!!クソッ!クソッ!クソッ!!」



 地団太を踏みながら怒り狂うその姿は、あまりにも恐ろしくソルは迂闊に近づくことはできなかった。

 更に次の瞬間にも報復にきそうでもあり、気を抜けず、目も逸らす事もできない。



 「今すぐ氷漬けにして、ブチ殺したっていいんだがよぉ…それじゃ俺の腹の虫が収まらねぇ…!これからお前に何度もリコルドを送り込んでやる!!ジワジワと自分の日常が無くなっていく、削れて行く恐怖を感じて…この俺!イブニング様に喧嘩を売った事を後悔させてから、殺してやる!!」



 そう叫んだ後、彼の身体は紫の煙になって霧散して消えていった。

 周囲からイブニングと名乗った男から放たれていた威圧感が消え、彼がこの場から去っていった事が、感覚として理解した。



 ソルは安堵して、大きなため息をついた。

 そして、周囲から段々と人の声が聞こえ始めたのを聞き取り、人払いの結界も消えようとしている事を感じ取った。

 急いで、門の後ろで休んでいたミランも抱えて、公園の方へ飛び去った。

 結界が完全に消えると、先ほどまで凄まじい戦いが繰り広げられた商店街前に神尾町の住人が溢れ出した。

 まるでそこには何でもない、日常が続いていたかのように。



 公園の林の中に降り立ったソルは変身を解き、薫とラパンに戻り、再び大きくため息をついた。



 「か、帰ってくれてよかったぁ…怖すぎるってぇ…あの人…」



 「妖精界を一人で滅ぼしただけの気迫が凄かったラパ……」



 二人はぐったりと、地面に座り込んだ。そして、薫は抱えている妖精が落ちない様にしっかりと両手の中に包んだ。

 その後、ラパンはモジモジとしながら急に出て行った事を謝り始めた。



 「……勝手にいなくなったりして……ごめんなさいラパ…」



 「いいんだよ…私の事を思ってくれて、戦いから遠ざけようとしてくれたんだから。これからもよろしくね?」



 少し休んだ事で、ちょっと回復したミランがより深い絆を結んだ二人に、微笑みを向けた。



 「これから大変な事はあるとは思うミラけど…今はとにかく…二人がまた一緒になれてよかったミラ…」



 ミランのその言葉に、ラパンと薫は顔を見合わせて笑った。



 「あはは!そうラパ!これからも一緒ラパ!ドーン帝国を打倒して、妖精界を元に戻すんだラパ!」



 「うん!頑張ろう!私、やるよ!ラパンと一緒に!」



 ラパンが薫の顔付近に飛び込み、薫は草が多い柔らかそうな地面に妖精を置き、ラパンを手の中に包んで抱き合う。

 二人はアンジェストロとして、バディとして深く絆を結び、ミランもその姿を見てまた大いに喜んだ。

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