22「S◯Xしなければ発動しないスキル!?」
俺(前回のあらすじ!
リリン殿下の極秘スキル【色欲】!
その発動条件は、相手と『契り』を結ぶことだった!?)
俺「い、いやいやいや『契り』ってナニ!? セッ……!?」
リリン殿下「では、さっそく」
メイド・クララ・ガブリエラ「「「今ここで!?」」」
リリン殿下「これっ、こちらを見るでない。恥ずかしいではないか」
父・メイド・クララ・ガブリエラ「「「「あわっ、あわわわわっ」」」」
――どたばたどたばたっ(父たちが部屋の隅に行って背中を向ける音)
リリン殿下「さぁ、レジ(顔を突き出してくる)。はよぅせよ」
俺「こ、ここで!? 本気で言ってます!?」
リリン殿下「余とそなたはいずれ夫婦となるのじゃ。恥ずかしがることではない」
俺「え、ええと……ごくり。で、では――(カチャカチャ)」
リリン殿下「? なぜに服を脱ぎはじめるのじゃ?」
俺「え?」
父・メイド・クララ・ガブリエラ「「「「……え?」」」」
リリン殿下「キッスじゃ。誓いのキッスじゃ。ほら、はよぅ」
俺「あぁ~~~~っ! そっち、そっちね!? 完全に理解したわ」
俺(なぁんだ、焦ったーーーーっ!
……つっても、年齢イコール彼女いない歴の俺には、キスの経験もないんだけどさ。
うぅっ。悲しくなってきた。
じゃなくて! 今っ、ここでっ、俺は非モテ歴に終止符を打つんだ!
うおおおおっ、俺はやるぜ!
いくら相手が10歳児だろうとも! 今の俺は7歳児だから問題ない!)
俺「で、では失礼して――」
――バチーンッ(リリン殿下が俺をビンタした音)
リリン殿下「く、唇にではない! 頬にじゃ!(真っ赤)
唇になんぞキッスしてしまったら、子供ができてしまうではないか!」
俺「…………は?」
メイド・クララ・ガブリエラ「「「「ピュアだ~~~~ッ!」」」」
とまぁ、すったもんだの大騒ぎの挙げ句、俺は殿下に【収納星】の力を捧げ、『【伯】級に限りなく近い【収納聖】』を装った実質【収納伯】になることができた。
一方の殿下は、『【天】級に限りなく近い【収納帝】』に。
百数十年の時を経て、メディア家に【収納帝】が復活した瞬間だった。
◆ ◇ ◆ ◇
俺「これで殿下は、『【天】級に限りなく近い【収納帝】』です。さっそく城壁作りを――」
リリン殿下「リ・リ・ン」
俺「殿下――」
リリン殿下「リリン!」
俺「うぐっ」
リリン殿下「契りを交わした間柄なのじゃ。名前で呼ぶのは当然であろう?
余にはちゃーんと分かっておるのじゃぞ。
【色欲】が発動しておるということは、そなた、しっかりと余に惚れておるじゃろ?」
俺「うぐぐぐぐっ」
リリン殿下「何の問題があるのじゃ?
余はそなたが抱える問題を解決することができる。
そのうえ、相・思・相・愛(ASMR) の仲なのじゃぞ?」
俺「アッアッアッ」
リリン殿下「それに、外で『殿下』呼びはまずかろう。
今の余は『ソリッドステート家の親戚の子』なのじゃから」
俺「それを言うなら、名前呼びはもっとまずくないですか!?」
リリン殿下「国民の大半は、皇位継承の目がない末子――それも女の余の名前なんぞ知らぬよ。
それに、さほど珍しい名前でもないしのぅ。
ほら、恥ずかしがらずに呼んでみよ。リ・リ・ン、と (ASMR)」
俺「~~~~~~~~ッ!
……リ、リリン」
リリン殿下 あらため リリン「!!(真っ赤)」
俺「って、なんでリリンのほうが恥ずかしがってるんですか!?」
リリン「は、恥ずかしがってなどおらぬ。
さぁ、さっさと
◆ ◇ ◆ ◇
人払いを済ませた、村の郊外にて。
俺「まずは使い方に慣れてみましょっか。【収納】!」
――どさどさどさっ
リリン「お、おぉぉ……オリハルコン!」
俺「オリドラから抽出した分です。
でもこれだけだとエンデ温泉郷を囲む壁には全然足りないので――
【収納】!」
――ゴロンゴロンゴロンッ
――ガキンゴキンガラガラガラッ
リリン「とんでもねー量の鉄インゴットじゃな!?」
俺「『魔の森』には、オリハルコン鉱山の他にも鉱山が豊富でして。
このとおり【収納】しておいたんです。
まぁ、【収納伯】となった今の私には、鉱山からまるっと鉄だけ【収納】し、インゴットに加工することはもうできませんが」
リリン「その口調!」
俺「え?」
リリン「あのメイドや村長っ娘やネコどもには一人称『俺』でタメ口なのに」
俺「うーん。まずいでしょう?」
リリン「何がまずいものか! 余はそなたの未来の妻ぞ?
余はそなたの『俺』とタメ口を所望する!」
俺「あぁもう! 分かった、分かったよ。
俺はもう、リリンに対して敬語を使わない。
これでいい?」
リリン「(にまぁ)余は満足じゃぁ」
俺「さいですか……。
じゃあさっそく、オリハルコンと鉄インゴットを【収納】してもらえる?」
リリン「【収納】!」
――シュンッ(オリハルコンと鉄が消える音)
俺「【目録】を出して、鉄の上にオリハルコンをドラッグさせる」
リリン「
俺「失礼、今のはちょっとした誤訳というか。気にしないで。
こう、鉄の上にオリハルコンを重ねてみて」
リリン「ほうほう」
俺「んで、念じる」
リリン「むむむむっ。オリハルコンよ、鉄の中に混ざるがよい!」
俺(ノリノリだ。可愛いなぁ)
リリン「オリハルコン合金よ、出よ。【収納】! ……むぅ」
俺「ありゃりゃ。ボコボコのボロボロだな」
リリン「…………(涙)」
俺「わーーーーっ。は、初めてなんだから、そんなもんだって。
大丈夫。練習あるのみだよ」
リリン「余は、余は……余は、手本を所望する!」
俺「確かに。でも、俺の【収納星】はリリンに預けちゃってるよ」
リリン「言うたであろう? 返すこともできる、と」
俺「どうやって?」
リリン「余が奪った時と同じじゃぁ。ほら、ちゅー(ほっぺを差し出してくる)」
俺「ちゅ、ちゅー(リリンの頬にキスする)。
これ、本当に必要?(真っ赤)」
リリン「必要じゃぞ(真顔)」
俺「そう(真顔)。
【収納】! 【目録】!
おおおっ、本当にスキルが【星】級に戻ってる! 便利だなぁ」
リリン「…………ふふっ」
俺「ん? どうかした?」
リリン「いや、な。
皇室では『呪われた力』だの『魔王の生まれ変わり』だの『忌み子』だの『淫売』だのとさんざんに言われておったから。
『便利』などとのん気に言うてくれるのが新鮮というか、妙にこそばゆくてのぅ(笑顔)」
俺「く、苦労してるんだな。
でも、『淫売』はないよなぁ。こんなにピュアで可愛いのに」
リリン「!?(真っ赤)」
俺「何、照れてんの?」
リリン「照れてなどおらぬわ!」
俺「ふふっ。【目録】で『オリハルコン合金の失敗作』を分離させ、再び混ぜ合わせる。
できたっ。オリハルコン合金よ、現れろ! 【収納】!」
――でんっ!(見事なオリハルコン合金が現れる音)
リリン「な、なんと見事な!」
俺「まぁ、俺もこの1ヵ月くらいでさんざん練習したからさ。
さぁ練習開始!」
リリン「余とそなたの、初めての共同作業というわけじゃな。
さぁ、ちゅーっ」
俺「ちゅ、ちゅーっ。
なぁ、これ、本当に必要?」
リリン「必要じゃぞ(真顔)」
俺「そう(真顔)」
このあとめちゃくちゃ【収納】した。