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彼女と私

一体何の話をしているのか気になった。
私は近くにいた男性に話しかけてみたところ何故か驚かれてしまった上に怯えた様子でそそくさと立ち去って
しまったことから首を傾げることになってしまったのだけど気を取り直してカウンターへと向かうことにした。
幸いにも並んでいる人は少なかったためそれほど待たずに済んだことが嬉しかった反面、
早く終わらせたかったこともあって急いでいるフリをしながら前に並ぶ人たちに迷惑をかけないよう配慮することにした。
しかしそのせいで長く感じてしまう時間を経てようやく自分の番が来たときには心底安堵したものである。
手続きを終えた後に渡されたプレートを受け取った際思わず笑みが溢れたのは仕方のないことだろうと思う、
何故ならこの小さな銀色の板きれ一枚に人生が変わるかもしれない程の重みがあるからだ。
これを持っているというだけで様々な場面で有利になるのだから当然といえば当然だと言えるかもしれない、
何しろそれだけの価値があるのだもの文句なんて言えるはずがないわよね?
むしろ感謝すべき立場にあるんじゃないかしらって思う、
だから、もし文句を言ってきたりしたら容赦しないつもりだけど今はそんなこと気にしてる場合じゃない。
さっさと用事を済ませて帰ろうと思っていた矢先背後から呼び止める声が聞こえてきて
振り向くとそこには見目麗しい美少女の姿があったのである。その瞬間思わずドキッとしてしまいましたが
顔に出すことなく取り繕うことに成功しましたとも、そして内心ではガッツポーズを取って喜んでいたりするんだけど、
そんな事は表に出さずにあくまでも冷静な対応を貫き通そうとしている最中なのであります、はい。
そんなことを考えている間にも会話が進められていたので取り敢えず相槌を打っていると思わぬ言葉が飛び出してきました。
それは、思いもしないものでしたが、聞けば納得できるものでしたから不思議ではありません、
えぇ間違いないでしょう。ただ一つだけ問題があるとすれば、それは、果たしてそれが本当かどうかという点でしょうか、
正直なところ自信はありません、いえ、間違いなくあるのでしょうけれど万が一ということもあるではありませんか、
ですから一応確かめておく必要があると思いまして尋ねてみたのですが……その結果は、まさかの大当たりということでございました、
これは喜ぶべきなのかそれとも嘆くべきなのでしょうか、どちらにしても私には関係ないことでしょうけどね!ええ、きっとそうです、
そうに違いないわ、よし、決めた!!今から自由に生きる事にします。
もう悩むことなんてないんだもの何も怖くないはず、
というわけで早速行きましょうか、
そんなわけで元気よく出発したのはいいのだけれど途中で気になるものが目に入ってしまった為に足を止めるとそれを拾い上げる
事にしたのであるがこれがまた重かったのです。
仕方なく一度置くことにしたわけですけど改めて観察してみるとどうにも変な感じだったので気になって、
仕方がなかったものですから意を決して持ち上げる事にしてみました。
すると予想以上に軽かったせいで勢い余って尻餅をついてしまったほどですが、お陰で痛みもなく済んだのであり難いことであると感じたため、
お礼を伝えると共に丁重に返却しておく事にしたわけであるのだったが、その時に彼女が浮かべていた。
意味深な微笑みの意味について考えていたところで不意に声をかけられた事により思考を中断せざるを得なかったのだ、
仕方がないのでそのまま歩き続けることにしたのである。
そんな俺の態度を見た彼女
(リティアという名前らしい)
は何か思うところがあったのだろうと思うが何も言わずに付いてきてくれたため内心ホッとしたものだ。
というのも先程の件以来、どうも調子が出ないというか落ち着かない状態が続いているせいもあると思うのだが、
それにしても不思議な子だよ。
一見大人しそうに見えるんだが実はそうではないのかもしれない、
そんな風に思いながら歩いているうちに目的地へと到着したらしく立ち止まった。
俺に続いて彼女も足を止めたようだった。
その様子を見ながら俺は静かに深呼吸をした後口を開くことにしたんだ。
その言葉を聞いた途端に彼女の顔色が変わり始めているのが分かったため嫌な予感を覚えつつも最後まで言い切らなければ始まらないと、
考え直した上で言葉を続けることにしたのだ。
(一体どんな風に言われるんだろうかと考えてドキドキしながらも平静を装ったつもりで話しかけると)
彼女は驚きの表情を見せており戸惑っている様子だったがやがて落ち着きを取り戻したようでこちらを見つめ返して、
くるようになったのだと言ってもらえただけでも嬉しくなってしまうものだが、
それ以上に、この子の事を好きになれたらいいなあと思ったからである。
まあ、要するに一目惚れしたってわけだな。
こうして始まった新たな、いや俺たちの旅立ちを祝うかのような素晴らしい一日になったことは間違いないだろう。
そう思うと何だか楽しくなってきた気がしてならなかったため意気揚々と歩き出したわけだが、
その際に彼女が手を差し出してきたのが見えたので握り返す事にしたのだった。
そこで一旦言葉を切ることになった原因は、彼女の表情が険しくなったように見えたことともう一つ思い当たることがあったからなのだが、
それは、 先程手渡されたばかりの荷物を彼女に手渡してしまったのだということだ。
だが、何故そんな事をしたのかと言えば答えは簡単で、これ以上持たせていると流石に可哀想だと思ったし、
何より重く感じていたためでもあるためだ。
考えているためである。
そうして無事に目的地へ辿り着いたわけだがこれからどうしたものかと考えを巡らせる中で真っ先に思いついたのは、
やはりギルドへ向かうことだと考えるに至った為すぐさま移動することに決めたのであった。
受付にいる女性職員の元へ一直線に向かっていった結果その反応を見る限り好感触であったようで安心したのだった。
だが、次の瞬間予想外の出来事が起こったことで動揺してしまうことになるなど夢にも思っていなかったであろう。
何故なら、突然背後に気配を感じたのである、何事かと思い振り返ってみるとそこには見知らぬ少女がいたの
だから驚いてしまうのも無理はないだろう。

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