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周りを見渡すが、誰もいない。
誰か、助けて。
このままじゃ、未来ちゃんが死んでしまう。
わたしは公園の入り口まで走った。誰でもいい、会った人に助けを求めれば──。
入口の柵を跳び箱のように飛び越え、歩道に飛び出した。そして、見つけた。1人、2人、3人。わたしは1番近くにいる人に駆け寄った。
「助けてください!!」
ネクタイをしてる、おじさんだった。
電話をしていた相手に、かけ直すと言って切る。
「どうしたの?」
「未来ちゃんが、ジャングルジムから落ちて・・・血が・・・」わたしの手の血を見て、おじさんは顔をしかめた。辺りを見渡す。「ジャングルジムって、この公園のことかな?」
うんうんと頷き、未来ちゃんの元へ案内する。おじさんはわたしのあとをついてきた。
遠目で未来ちゃんを確認したおじさんはわたしを追い越し、走った。わたしも必死で追いかける。
未来ちゃんの横に膝をつき、顔にソッと手を当てる。「大丈夫?頭打ったんだね。動いちゃ駄目だよ」
未来ちゃんはさっきより落ち着いていたけど、声を出さずに泣いている。
おじさんは上着のポケットから先程の携帯を取り出し、電話をかけた。
未来ちゃんの状態と、場所の説明をして終わらせる。
「キミはこの子の友達だよね?」
わたしは頷いた。おじさんにハンカチを渡され、初めて自分が泣いていることに気づいた。汗と共に涙を拭う。そのあと、血も。
「この子の家の電話番号はわかるかい?」
ぶんぶんと首を横に振る。
「そうか、じゃあ家は?」頷くと、おじさんは良かったと言い、また上着から何か取り出した。四角い紙をわたしに持たせる。「いいかい?今からこの子の家に行って、お母さんにこの事を言うんだ。そして、この紙に書いてある携帯番号に電話するように伝えてくれるかな」
わたしは頷き、すぐ走り出した。
幸い、未来ちゃんの家はすぐそこだ。死に物狂いで、向かう。
チャイムも鳴らさず、玄関のドアを開けて靴を脱ぎ捨て、リビングへ駆け込む。
未来ちゃんのお母さんは、ソファーでコーヒーカップを片手にテレビを見ていた。わたしの登場にギョッとする。
「わっ、ビックリした。雪音ちゃん?どうしたの?」
息が切れていて、うまく喋れない。そんなわたしを見て、ただ事ではないと察知した未来ちゃんのお母さんが、私の元に駆け寄る。