あ、急に天才的な発想が
「サン大陸に行く方法、ポリスメンに訊くのは?」
ご飯を食べ終えたバウワウがからかうように言ってきました。
私は首を横に振ります。
「駄目よ」
「えー。逃げてばっかりじゃ良くないと思うけどなぁ。因縁の相手と向き合うのも大切なことじゃない?」
「違うのよ。気持ち的に嫌とかそういう問題じゃなくて、今の私は追われる身なのだからポリ公には頼れない。事情が割れれば教会に連れ戻されちゃう」
「あーそっか。そういえば僕たちはそういう立場だったね。追っ手の気配なんて全然しないから忘れかけてたよ」
「聖女は替えがきかない存在だから、間違いなく教会の人たちは私のことを血眼になって探しているはずよ。手助けしてくれたロミさんが罪に問われてなければいいのだけれど……」
「あの婆さんは割としっかりしてるからその辺は抜かりないんじゃないかな。まぁ今更そんなこと心配したってもうどうしようもないことだし、あんまり悩まなくていいと思うよ」
「……そうね。大丈夫だと信じましょう」
私は不安な気持ちを悟られないように、バウワウに笑顔を作って見せました。
バウワウは興味なさげに頷き、
「うん。で、そんなことより、本当にどうするのさ」
と訊いてきました。
「そうねぇ……。あ、急に天才的な発想が降りてきた」
急に天才的な発想が降りてきました。
バウワウは訝しげに私のことを見ました。
「なんかロクでもないこと思いついてそうな顔だ」
「失礼ね。聞いて驚きなさい。私の作戦はね……」
私は思いついた作戦をバウワウに説明しました。
バウワウはため息をつきました。
「結局人と関わりたくないだけじゃないか。その辺の人に訊けばいいだけの話なのに」
「知らない人に急に話しかけるなんてできるわけないでしょ? 何言ってるの?」
「なんでそんな偉そうにできるのさ。……まぁ好きにすればいいんじゃないの。僕は知らない」
「好きにするわ」
それから私は大きめの紙とペンを買いました。
作戦に必要なものです。
そして町を歩き、掲示板を探しました。
町の中心、広場に掲示板を発見したので、さっそく作業に取り掛かりました。