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トラップ回避

「やっぱり、引っかかった。これじゃ、歩けないわね」
「おいてくわよ、当然」
「あんたをリーダーに選んだのは、先頭でトラップに引っ掛かってもあんたなら、見捨てても心が痛まないからよ」
「恨むのなら、こんなトラップだらけの廃墟に私たちを閉じ込めた殺人鬼に言ってよ」
「あんた、こういう頭のおかしい殺人鬼に追い詰められるホラー映画が大好きなんでしょ。よかったじゃない、映画みたいな体験ができて。心配しないで、私が無事に脱出できたら、助けを呼んでくるから」
「あんた、なに笑ってるの? なんで立てるの、怪我は? 私を騙したの?」
「い、いや、ちょっと待ってよ、心が痛まないって言ったのは、言葉の綾ってやつで、まさか、ここのトラップはあなたが、そ、そんなに怒らなくても、ちょ、やめてよ、いや、やめてよ、ごめん、謝るから、いやぁぁぁ」

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