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在城の伍



 その日の夜。
 父上と母上が静かな寝息をたてているのを脇目に、わしは静かに布団を抜け出た。
 32インチの中級武士が鎮座する寝室を抜け出て、隣の和室へと足を向ける。
 音を立てずに引き戸を開け、わしは部屋の中に入った。

「いい夜じゃ」

 障子をあけ、ガラス戸の向こう側に広がる夜空を眺めながら一言。
 立っているのもなんなので、和室の座布団をガラス戸の近くまで運び、そこに正座をする。
 引き続き夜空を見上げながら、ため息のような呼気を短く吐いた。


 さてさて、ここでひとつ今日の出来事をまとめねばなるまい。
 転生者、武威、ねね様……そして現世にひしめく勢力たち……。
 わしのような転生者が日の本各地に生まれ出でておることが判明した。
 一体どれぐらいの数がおるのじゃろうな。
 幾千か幾万か。前世では名もない輩だった者たちも現世に転生しておるとすれば、それぐらいの数はいくじゃろう。
 魂の数云々言っておったから、今現在の日の本の人数から考えれば、数百万から数千万ぐらいの可能性もあり得る。
 今の日本人、十人に一人が転生者。
 そう考えるだけで怖気が走るわ。

 でもまぁ、おそらく転生者が選ばれる基準は武威の有無じゃろう。
 武威を纏うぐらいの歴史上の有名人――かような輩のみに絞って転生の術が仕掛けられたとするならば、転生者は数百程度に収まるだろうな。
 だけど、武威を纏う者が1人いるということは、それだけで一般人で構成された数百人規模の軍に相当する。
 それが×(かける)数百ともなれば、その総戦力は計りしれん。

 んで、そんなやつらがひしめく天下取りの争いにわしが名乗りを上げるとして――

 今のわし。
 わっぱの体と、園児という社会的地位。
 武威の弱さを考えずとも、今のわしはあまりに弱すぎるし、この条件で名乗り出るわけにはいくまい。
 天下争奪の戦いに身を投じれば、今生のわしにも天下の道が開けるかもしれんけど、今はまだ危険すぎるのじゃ。
 だいたい、この後わしの武威が前世のそれまで成長するとしても、そもそも戦国の世におけるわしの武威は中の下もいいところじゃ。
 名のある他の武将と相対した場合、勝てる見込みが小さすぎる。

 唯一の武器は……。
 前世からまるまる持って来てしまったこの記憶じゃろうか。
 いや、記憶といっても前世の知識などは複雑怪奇な現代においてさほど当てにならん。
 でも大人の理解力をわっぱの頃から持っているという事実。
 これがわしの利点であることをしっかり自覚せねばなるまい。

 5歳でありながら、文字を読み解く。
 5歳でありながら、ハイテクからくりを駆使する。

 他の者が2つの記憶の混在に苦しんでおるであろうわっぱの時期に、わしはそれを理解し終え、知の成長に時間を費やすことができる。
 他の転生者に比べて、絶対に有利な条件じゃ。

 あと戦国乱世を生きた経験なども、わしの武器かもしれんな。
 源平でも南北朝でも戊辰でもなく、日の本の歴史上最も混乱した世。
 敵味方を2つに分けるどころか、周りは全部敵。
 そんな時代をわしは生きていたのじゃ。

 経験というよりは、処世術といってもいいのかも知れんけど、勘の働かせ方とか未来の読み方とか。
 他の戦国武将も同じだけど、そういったわしらの狡猾さは鎌倉武士や維新志士のそれに負ける気はしない。

 現世で新たに得た知と、乱世をのし上がった経験。
 この2つを上手く育て、時が来たら仲間を募って勢力争いの一角に切り込む。
 それまでは絶対に目立つ動きはせぬように気をつけよう。
 寺川殿の長屋で痛感したからな。
 ひざ蹴り食らったから、文字通り痛感したんだけどな。

 それと、三原といったか。
 あのような輩がそこらへんをうろちょろしておる。
 今のわしは食われるブタさんじゃ。

 しかもわしがなにか致命的なミスを犯さなくても、何気ないきっかけで命を落としてしまうぐらいに危険な立場じゃ。
 今日のあの時も、わしの命はあやつの気分次第じゃった。
 それを重々承知しておかねばなるまい。

 あと、寺川殿について。
 寺川殿はねね様だった。
 今日それを知ったし、そのおかげでわしの孤独もいくらか和らいだ。
 寺川殿と深い話をすることもできた。
 でもまだまだじゃ。
 幼稚園の先生としての寺川殿ではなく、転生者としての寺川殿のこれまでの人生について、もっと知っておかなくてはなるまいて。
 寺川殿と京都の陰陽師とやらの繋がり。寺川殿と他の勢力との関係性。あと、輪廻転生うんぬんの話。

 それを知り、それを切り口として他の勢力のさらに深い情報を知り、同時に身を隠し続ける。
 そうせねば、平穏という殻を被ったこの国の影なる争いに意図せず巻き込まれるのじゃ。
 でも寺川殿の存在は正直ありがたいし、今後は週一ぐらいであの長屋に侵入しようと思う。
 うん、しばらくはそんな感じで行こう!

 ふーう……

 されど、お月様が輝くこの景色だけは、今も昔も変わらんな。
 考え事をしたい時は、やはりこの景色を前にして思案にふけ込むのが1番じゃ。
 でもこうやって瞳の先をお月様だけに集中しながら考え事をすると、あの時代を思い出すな。
 現世のように車の音も電車の音も聞こえず、静かな城の一部屋で月を見ながら国の政治を考え込む。
 そんな時代のわしの姿をじゃ。

 しかも、今日寺川殿からあんな話を聞いたせいもあろう。
 なんというか……こう……今のわしは、幼稚園に通うただのわっぱではなくて、日の本全てを狙うスケールの大きなわっぱになった。
 そういう位置に立った気がするのじゃ。
 でも天下取りの話は後のことじゃ。
 もう1つの大切な問題も忘れてはならん。

 由香殿とその兄。
 そんでもってその奥に潜む区議会貴族。
 今となっては小さな問題になってしまった気もするけど、勇殿や華殿、そしてジャッカル殿たちが今もなお苦しんでおる問題じゃ。
 なので、これは勇殿たちの友人として決して捨ておけんし、石家光成という1人のわっぱとしても決して捨ておけん。
 区議会貴族が相手だろうがひと泡吹かせ、なんだったら園長先生殿はじめ敵方に通ずる他の先生殿たちと、ひまわり軍のやつらもまとめてぶっ潰しておきたい。
 それぐらいの政敵、簡単に駆逐できなくてどうする?
 石田三成である心の中のわしがそう言っておるのじゃ。

 でも、どうするか?
 区議会貴族ごときに怯える寺川殿の下知は無視しておくとして、結局わしはわっぱじゃ。
 名だたる転生者集団はおろか、そのような普通の輩にも地位で負けておる。
 わしにはPTAの会合を開く権限もないし、たとえその会合に参陣できても、発言力がない。
 勇殿の母上のように、どんなに正しいことを言っても、由香殿の祖父の権力に負けてしまうからじゃ。


 うーむ。
 ここはやはり、暴力で行くか……?

 幸いにして、寺川殿の長屋にいた時より、わしの武威は若干強くなっておる。
 三原の武威を浴びて、生存本能がフル稼働したからじゃろうか?
 またはそれに重ねて寺川殿の武威を目の当たりにしたからじゃろうか?

 最近少しずつ目覚めてきておった武威が、ここ数刻でその速度を増しとるんじゃ。
 といっても、前世のわしの武威を100とした場合の、1が3になった程度じゃが。
 国営放送のおねえさんが言っておったけど、これが“ショック療法”というものじゃろうな。

 願わくば、この急激な回復が5や10で止まることなく、そのまま100まで進んでくれればよいが。
 そうなれば、近いうちに都議会貴族もろとも刃向うやつを皆殺しにして……。
 ついでにわしを捕まえに来たお巡りさんも血祭りにした挙句、総理大臣あたりに司法取引も持ちかけられよう。
 現世では邪道かも知れんが、とても単純で簡単な方法じゃ。
 わしを捕まえに来たお巡りさんに、マジなレベルの武威の使い手がおらねばの話だけどな。
 あと考えておいてなんだけど、この手段は父上と母上に迷惑をかけることになるから、絶対出来ないんだけど……。

 難しい問題じゃ。これは本腰入れて考えようぞ。

 と、正座しておった足を崩し、座布団の上で胡坐をかこうとしておると、背後から声をかけられた。

「光成?」

「いやっっっほーーーーう!!!!」

 人間、ビックリすると何を叫ぶかわからんな。
 まぁよい。父上じゃ。
 わしは今心臓バックンバックンだけど、後ろに立っていたのは父上じゃ。

「び……びっくりしたぁ……な、なに?」
「いや、お前がなにしてんだ? こんな夜中に……こんなとこで……」

 しまった!
 月夜を愛でながら、物思いにふけるわし!
 めっちゃかっこいいけど、違和感マックスじゃ!!
 でも、ふっふっふ!
 こういう事態になった時の言い訳も考えておる。

「なんかね。勇君が言ってたんだけど、お月様にはウサギさんがいるんだって。だから探してたんだ」

 くっくっく!
 自分で言っといてなんだけど、いるわけなかろう!
 あの星は真空極まりないエアーっぷりで、昼夜の温度差も電気ポット並みに上下するハードライフスターじゃ。
 びーえすの方の国営放送で言っておったわ!

 でもこう言うのがわっぱじゃ。
 わっぱ人生を5年も偽ってきたわしのスキルを舐めるなよ!

 と心の中であざ笑っておったら、父上が言を返してきた。

「いや、いねぇよ」

 ちょっと待て。
 1人の父親として、そこはわしの話に乗るべきではないのか?
 5歳のわっぱの夢見る話を三原のひざ蹴り並みの速度で否定するのは、教育として間違えておるのではなかろうか?

「え? そうなの? 残念だぁ……」

 いやはや、わしの父親として5年も頑張ってきた父上のスキルは意外と低かったな。

「2階に望遠鏡あるけど、見てみるか? ウサギなんていねぇから」

 挙句の果てに、おとぎ話の否定を証拠付きで示そうとする父上。
 最悪じゃ。父上、最悪じゃ。
 夜中に独りで行動するわっぱを頭ごなしに「もう寝ろ」とか言わないあたりは、やっぱ父上は優しいなぁとか思ったけど、そうやってわっぱの夢を粉々に壊すこ――なんだって!?
 2階に望遠鏡があるじゃと?
 なんでそれを早く言わんのじゃ!
 この城に5年住んで初めて聞いたぞ!

「え? ほんと? 見てみたい!」

 一軒家城の2階にはあまり行った事がなかったけど、まさか父上がそのような宝物を隠し持っておったとはな。
 父上は相変わらず懐の読めん男じゃ。

「じゃあ2階行くぞ。ついてこい」
「うん。行こ行こ!」

 その後、わしらは母上を起こさぬよう足音を忍ばせながら2階へと向かうことにした。
 我が一軒家城の2階は8畳の部屋が1つと、6畳の部屋が2つ。
 8畳の部屋は父上の書斎となっており、父上は城に仕事を持ち帰った夜に、この部屋に閉じこもったりする。
 あと6畳の部屋は、今はまだ使っておらん。
 わしが小学校に参陣する頃にそのどちらかを借り受け、それと同時に父上たちも寝室を6畳の部屋に移すとのことじゃ。

 わしとしては今の時点で1人部屋を授けられようとも気にはしない。
 わし精神的には立派な大人だし、別に1人で寝ても怖くないからのう。
 でもわしが大きくなるまでは32インチの中級武士がおる部屋で、3人仲良く川の字で寝ようとのことじゃ。
 これは父上と母上の方針なので、従うしかあるまいて。

 でもでも……

 そういえばさっきわしの背後に忍び寄った父上も足音を忍ばせておったな。
 そういうのをされると、長屋の階段を降りる三原のことを思い出してしまうから、やめてほしいな。

「うっ、眩しい」

 部屋の照明をつけてくれた父上にそう伝えながら、心の中では嫌な記憶を必死にかき消す。
 父上がクローゼットという押し入れの中から大筒のような望遠鏡を箱ごと取り出し、部屋の中心に置いた。

「これが望遠鏡?」

 まぁ、びーえすの国営放送でやってた番組とか民間放送のコマーシャルで見ておったから、望遠鏡の姿形は知っておる。
 これは演技じゃ。
 そして、そんな感じで瞳を輝かせるわしの前で、父上が勝ち誇った顔で箱を開け望遠鏡を取り出した。
 なのでわしはその下に隠れておった説明書を手に取る。

 ほうほう。

「こっちの小さいのが……ファインダーっていうんだね。それで……ファインダーを覗いて、見たい星を十字線の交錯する点に合わせる。なるほど……」

「お前、やっぱ漢字読めるんだよな?」

 やっちまったー!!
 父上の前で、取扱説明書を音読しちまったぁ!
 あと、“やっぱ”ってなんじゃ?

「いや……光成、野球選手の名前とか普通に覚えているから、なんとなくそう思ってたんだけど……。まぁ、野球選手はニュースとかでアナウンサーが名前言ったりもするけどさ。
 あとお前、録画予約する時に……絶対、画面の文字読みながら設定してるよな? 特に画質設定を変更する時とか。画質設定する時点で幼稚園児の行動じゃないから、うすうす気づいてたんだけど……。
 極めつけが今のお前な。今初めてこれ触ったはずなのに、“ファインダーの十字線”って……。平仮名とか片仮名とかなら可能性あるけど……まさか漢字まで……」

 なんか若干怯えた目でわしを見る父上。
 いや、まだ終わってはいない!
 何が終わるのかわからんけど、終わってはおらんのじゃ!

「ん? 違うよ。昔、勇君の家でちょっといじったことがあったから、部品の名前だけ知ってたの。説明書は読めないよ。あと、テレビの録画予約もボタンの位置を一生懸命覚えたんだ。いつもそれ思い出しながら録画予約やってるの。僕すごいでしょ?」

 ちなみに勇殿が望遠鏡を持っておるなど、1年以上の付き合いの中でも聞いたことはない。真っ赤なウソじゃ。
 なので明日、勇殿の城に遊びに行こう。
 んで……いや、勇殿の父上が帰ってくるまで待たなきゃならんから、なんとかしてお泊まりする段取りをしよう。
 んでんで、勇殿の父上に将棋を挑み、勝ったらその見返りとして勇殿に望遠鏡を買ってあげるように交渉しよう!
 早急じゃ。時間的なアリバイとかぼろぼろだけど、早急にそうせねば!

 背中に滴る汗の感覚を覚えつつ、わしは必死に取り繕う。
 わしが46のおっさんを心に飼っているなど知れたら、石家家が内部崩壊を起こしかねん!
 あと、これまで一緒に風呂に入っていた母上に詐欺罪で訴えられかねん!

 と、混乱極まる思考で父上の疑惑をはねのけようと心しておったら、父上が思わぬ一言を放った。
 しかもあれじゃ。
 たまに言葉をじっくり選ぶ父上の手法。それも交えての一撃じゃ。

「まぁ、お前が前世の記憶を持ってたとしても、俺の息子だからな。将来悪いことしなけりゃ、なんでもいいや」

 5年間、わしの心に隠しておった秘密。
 わしもそれを必死に隠してきたし、さっき父上に話しかけられてから今現在まででも、前世どうこうという話はつゆほど出してはいない。
 漢字が読めるといっても、わしがそういう天才わっぱであるという可能性もあるからじゃ。
 でも父上は今、わしが前世の記憶を持っておると言った。
 正確にその全貌をというわけにはいかんだろうけど、なんとなく気づいておったのじゃな。
 そういう節を匂わせておる。

 でもあくまで匂わせる程度に収めつつ、言の終わりは将来のわしについてじゃ。
 ちゃんとまっとうに生きれば、なにしてもいいと。
 これ以上は追及しないという優しさを示す温かい配慮じゃ。
 やばい。父上、かっこいいぞ。
 あと、そんな優しさ見せられると、わしもそれに答えたくなる。
 ちょっとばかりわしの秘密を教えていいような気になるのじゃ。

「うん。僕、正しく生きる」

 さっき幼稚園で大量殺人事件を起こそうとか画策してたけど、あれは無かったことにして――
 前世の記憶については父上の言を否定せず。
 それが今のわしにできる精一杯の答えじゃ。
 あと、父上の子供としての笑顔を見せてあげた。
 これでいいじゃろ。
 さぁ、話題を替えて、お月様観察じゃ!

 と思っておったら、ここで父上が裏切りよったわ。
 わしが一難去ったと油断して望遠鏡の三脚を組み立てておったら、父上が一緒に作業しながら追撃の十字砲火を放ちおったのじゃ。

「さすがに、“是非に及ばず”は無いけどな。俺はあの時分娩室の外にいたから直に聞いてはないけど。
 生まれたばっかだぞ? ミスだとしても、迂闊すぎるわ。うるっせぇマスコミ追い払うこっちの身にもなれよ」
「仕方なかろう! こちとら六条河原で首切られた直後だったのじゃ!」

 うん、やっちまったな。
 ずるいぞ、父上……。

「落ち着けよ。俺であってもその件を隠す努力は続けろ。
 そのルールを1度でも緩めちゃうと、それきっかけで他の人に対する注意力も緩まっちゃうから、みんなにもばれちゃうぞ。
 つーか、今日のお前完全におかしいんだけど……。幼稚園での事件はお母さんから聞いてるけど、それが理由か? 何があった?」

 でもその後、父上はわしの前世について深く追求をすることは無かった。
 そこらへんはやっぱ優しい人だと思うんじゃ。
 あと、聞かれたから、幼稚園のこととかを父上に話すことにした。
 でもこれが間違いだったのじゃ。

「区議会議員ねぇ……議員なら、昔調子に乗った都議会議員の候補を1人、選挙の時に潰してやったことあったけど……。
 まぁ、似たようなもんだな。光成? お前、議員のリコールの仕方、知ってっか?」
「知らない……けど?」
「じゃ、その準備からやってみるか……?」

 にやり……

 十数秒の思慮を経て、父上が妖しい笑みを浮かべ、わしも似たような笑みを返す
 ここら辺は親子じゃな。
 まぁよい。

 お月様を見ながら男2人で夜遅くまで話し合い、どう考えても父親が5歳の息子に教えちゃいけないこととか話してもらった。
 悪魔の知識ってやつじゃ。それを手に入れてしまったのじゃ。

 でも、もうあれじゃな。
 そんな高度な謀を教えてくるあたり、父上はもうわしを5歳のわっぱと思っておらん。
 まぁいいか。
 寺川殿と父上。
 理解の度合いは違うけど、この2人だけなら知られてもいいと思う。

 母上は……発狂するだろうからごめんなさい。


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