バケモノに見えた
「教師がバケモノに見えた。だから、クラスのみんなで殺した。そうだね」
「はい、目が一杯あって、とても人間には見えないバケモノが教室に入って来たんで、教室中パニックになりました。で、殺さないとこっちがやられると思ってみんなで、掃除道具とか椅子とかで叩いて殺したんです。それが動かなくなって、ようやく先生だと分かったんですが、もう死んでました。警察にもそう話しましたし、私もその中の一人ということで、結構近所の人に噂されました。転校した子もたくさんいます。学校の先生を殺したバケモノだって」
「でも、警察は、クラス全員の精神鑑定をして、その教師の普段の厳しすぎる授業態度に生徒がストレスを感じ、教師をバケモノと認識してしまい、ヒステリックになって集団暴行をおこなったと。君たちは未成年ということもあったし、また卒業生からも、その教師の生徒に対する横柄な態度の証言もあって、その教師の自業自得みたいな空気もあって、君たちは誰一人罪に問われなかった。けど、あれは、君が中心になっておこなったという証言を聞いたんだが」
「私が? 誰がそんなことを?」
「記者として、情報源は明かせない。が、転校した子がたくさんいると言っただろ、つまり、君の目の届かない子がたくさんいるということだよ」
「あら、私がクラス全員を支配し、バケモノに見えたと精神障害を臭わせる口裏合わせをクラス全員にさせたと言いたいのですか?」
「違うのかね?」
「バケモノがもう一匹出たと私に騒がせたいのですか?」
「つまり、私をバケモノに仕立て上げて殺すぞという脅しかい?」
「さて、どうでしょう?」
「私には、君の方がバケモノに見えるよ」
「フフフ・・・」