保護飼育
俺は、貴重な珍しい人間として、バケモノたちに飼育されていた。石油の枯渇、安心して飲める水源確保や異常気象による食糧難等を経て、人類は数を減らし、バケモノと呼ばれて伝説扱いされていた吸血鬼、狼男、半魚人や雪男の方が多勢になっていた。人類は絶滅しかけて、バケモノに保護されて、檻に入れられ、餌を与えられて細々と生き残っていた。俺だって、バケモノに飼われれるのは嫌で、逃げ回っていたが、数を減らした人類に逃げ場はなく、ほとんどがバケモノに捕獲されて、彼らから餌をもらって生き延びていた。
バケモノから食い物を施してもらうのは屈辱ではあったが、絶滅しかけの俺たちになにができよう。
バケモノは、俺に、適齢のメスを与えて繁殖させようと目論んでいるようだが、俺は彼らの意向に従うつもりだった。子供をたくさん作り、人類が増えれば、きっと将来はバケモノと人間の立場が逆転すると信じて。