侵略者
「我々が、侵略者だと」
どう見てもバケモノにしか見えない、トカゲ頭の異星人とコミュニケーションするための翻訳機がようやく完成し、意思疎通が滞りなくできると思ったが、彼らが、我々を侵略者だと思っていると知り、驚いた。
「君たちがこの星に辿り着いたとき、住民を何人か誤って殺してしまっただろ。それで世論は、君たちを侵略の先遣隊だと思っている」
「いや、あれは、向こうが、我々を攻撃してきたからで」
「自己防衛だったということは分かっている。だが、お互い見ての通り、哺乳類と爬虫類、進化の系統が全く異なる異種族だ。君たちから見れば、我々はバケモノだろうが、こちらから見れば、君たちの方がバケモノなんだ」
「だが、あの時我々が反撃しなければ、こちらが、現地住民に全滅させられていた」
「ああ、それは理解している。だが、君たちの外見は、この星では異質すぎるんだ。この星では、哺乳類は、ほとんど滅び、哺乳類が知的生命体に進化するとは考えられていなかった。そこへ君たちが現れたら、バケモノとして警戒するのは当然だとは思わないかね」
「では、どうしろと」
「世論は君たちをバケモノ扱いしているが、こうして君たちとコミニケーションを取っている私や、我らの総統は君たちの存在を理解している。君たちの船は光速を越えるのだろう? 我々の科学文明は、そこまで到達していない。そこで、君たちの持っている知識で我々に有益な技術を開示してもらいたい。君たちの持っている科学技術が素晴らしく有益であると浸透すれば、世間も、君たちを敵対視しないだろう」
そうして、恒星間調査団は接触した異星人に技術提供をしたのだが、提供した先が実は独裁国家で、独裁者に手を貸す異星人として、逆に民衆の敵と認識され、かえって危険な立場に追いやられてしまったが、通訳機を駆使して、その星の情勢を理解してからは、独裁者に手を貸すようなことは控え、彼らよりすぐれた科学技術で大衆の革命を密かに手助けしたりして、結果的にその星の影の支配者になった。