遅刻の言い訳
「すみません、店長。電車寝過ごしてしまって、目が覚めたら、一面真っ白の知らない駅でして、上りの電車を待ってるんですが、なかなか来なくて。すみません」
「え? どれくらい遅れるかですか? それが妙なんですが、この駅、時刻表も駅名板も、何もなくて」
「うそじゃないです。本当に何もない無人駅で、周りは雪ばかりで」
「は? はい、この時期に雪なんて変ですよね。あと、コンクリートのホームと線路だけで周りには一軒も家がないんです。おかしいですよね」
「た、たすけてくださいよ、店長、なんだか、このままここから帰れそうになくて。ホームに雪が積もってるんですが、足跡俺のしかなくて・・・」
「冗談じゃなくて、マジで助けてください! だって、ここ空に二つの太陽があるんですよ、ぜったい、嘘じゃないです。遅刻の言い訳にこんな下手な嘘つきますか」