予知能力
彼女は自分には予知能力があると周りに吹聴していた。地震や災害を予言していたとか言っていたが、いつも事後報告だったので、誰も彼女の予知能力を信じていなかった。
私もその一人だったが、表立って彼女をバカにするようなことはなった。で、卒業式、彼女は一通の手紙を私に渡した。
「いい、絶対に三年後に開けて、中を読んで」
と彼女は私に念押しした。だが、私もあまり彼女の予知能力を信じていなかったから、受け取ってすぐ、中を読んでしまって、あまりに突飛な内容にすぐ忘れてしまっていた。
そして、三年後、彼に殺される直前に、あの子から受け取った手紙の内容を走馬灯のように思い出していた。当時ネガティブな喪女だった私は、愛した相手に殺されるなんていう劇的な未来を想像できなくて信じられなかったのだ。だが、あの子は、私が惚れた男に殺される未来を手紙でちゃんと忠告していた。