打ち明けるぞッ
私がそんなことを考えていると、部屋のドアがノックされました。
「アルマ様、お時間ですよ」
落ち着いた声が聞こえてきます。
「あ、はい。分かりました」
私はドアに駆け寄ると、手前に引いて開けました。
そこにはロミさんがいました。
ロミさんは私を見ると、深く皺が刻まれた顔を穏やかに綻ばせました。
「参りましょうか」
おっとりとした口調でそう言うと、ついてきてくださいと言うように背中を向けて歩き出しました。
足があまり良くないロミさんはゆっくりと歩きます。
私は部屋の方を振り返ってバウワウに
「行ってくるね」
と声を掛けてからロミさんの後に続きました。
修道院から大聖堂に移動しながら、私は今日こそロミさん自分の夢を打ち明けるぞッ、と意気込んでいました。
よし!
話すぞ!
私は今まさに話そうとしているぞ!
あと五秒したら言うぞ!
よし、五秒経ったぞ!
……。
やっぱり無理でした。
こうして最近は、話そうとしては勇気が出ずに言い出せない日が続いているのです。
私は自分にガッカリしてため息をついてしまったのですが、それを聞き逃さなかったロミさんが私の顔を覗き込んできました。
「どうかなさいました? 何かお悩みですか?」
「あ、いえ。えっと……」
ロミさんはじっと私の顔を見て、私の次の言葉を待っています。
適当なことを言って逃れることはできないと悟った私は、期せずしてチャンスが訪れたとポジティブに考えて、ついに打ち明けることにしました。