条件
私はひよこ鑑定士になるための流れがどんなものであるか考えました。
書物を漁って調べた結果、ひよこ鑑定士、正式名称初生雛鑑別師になるためには初生雛鑑別師養成所に入所して講習を受講しなければならないと分かりました。
漢字ばかりでなんだか難しそうですね。
ははは。
そして養成所への入所条件は満二十五歳以下、高等学校卒業または同等以上の資格を持っているとかなんとか。
それに加え、身体頑健で視力がいい感じである必要があるようです。
ふーむ。
私は今二十歳なので年齢は大丈夫ですね。
高等学校卒業ということについても、問題ありません。
この世界では学校に通える者なんてお金持ちや貴族くらいのものなので、貧しい家の生まれである私は本来通えるはずがなかったのですが、十五の時に心を読む能力があることが世間にバレてしまい、教会の人たちに無理やり入学させられたので高等学校を卒業しているのです。
それと私は鍛えているわけではないのですが、聖女という立場上かなり良い生活をさせていただいておりますので、体は健康そのものです。
身体頑健ということに関しても問題ないでしょう。
しかし、問題が一つだけありました。
私は目がとても悪いのです。
本当に悪いのです。
これは大問題です。
この世界には視力を矯正するような道具はありません。
つまり私は養成所の入所条件を満たしていないということで、ひいてはひよこ鑑定士になれないということに他なりません。
では私は夢を諦めるしかないのかというと、それは違います。
この世界には魔法があるのです。
そして視力を回復させることができる魔法も存在すると書物で読んだことがあります。
ただ、それにはとても希少な薬草を調合することで作ったポーションが必要なのです。
そしてその薬草、メェヨクナールはデンジャラ熱帯林の奥地に植生しているようです。
メェヨクナールを買い求めることはできません。
それを買うお金があれば、大きなお屋敷がいくつも建つことでしょう。
デンジャラ熱帯林は非常に危険な土地です。
恐ろしい魔法生物が数多く生息していて、デンジャラ熱帯林はヤベェということわざがあるくらいです。
それゆえにメェヨクナールはとんでもなく高級な薬草なのです。
しかし行かねばなりません。
私は夢を叶えたいのです。