69.降り立つ仲間たち
先輩たちが、ポルタ社が来てくれた。
それは間違いなくホッとするよ。
戦力としても強いけど、それが古くからの知り合いだと、格段に。
だけど、先輩はイラ立ってるのかな。
獲物を奪われた、そのことに。
私のキャプチャーが、完全に消え去った。
「キャプチャーは、ペンダントに戻った。
確認! 」
安菜も安心した感じで答えてくれた。
席のモニター裏、専用ソケットから、ペンダントが引き抜かれる。
降りるまでは、安菜があずかってくれる。
川の水は?
「許容範囲です」
これには、はーちゃんが答えてくれた。
よかった。
キャプチャーに巻き込まれて、川辺にならんだ『不法投棄禁止』や『危険につき車両通行止』の看板をたおしたけど。
キ、許容範囲だよね?
「あっちの水位計? は折れなかったんだから、よしとしなさいよ」
安菜が言うのは、ちょっと離れたところにある小さな鉄塔の事。
その塔が川のなかに向かって伸びてる。
その先がセンサーになって、水の量を測るんだろう。
ブルブル
ボルケーナ先輩は、全身をはげしくふって、雨を弾き飛ばした。
犬みたい。
そして急いで、お腹の毛のなかに手を突っ込む。
中からでたのは、大きなカーキ色のビニールシート。
それをかぶった。
シートの真ん中あたりで顔をだす穴がある。
ポンチョだったんだ。
さらに、赤い長グツをだした。
あの人は体が液体だから、きれいに畳んで入れてるのかもしれない。
異次元に入れてるのかもしれない。
足をそこら辺の水溜まりに、つっ込んだ。
ジャブジャブ
ヨゴレを流すと足をふって、水を落としてからはいた。
なんて水切れのいい毛皮なんだろう!
先輩は、川沿いの堤防に目をうつした。
堤防の上は舗装されてる。
自転車やランナーが走りやすいように。
幅は乗用車2台がすれ違えるほど。
桜の並木だね。
防災用品を入れたコンテナハウス。
公衆トイレもある。
外から、とくに川側からツル草が伸びていた。
旺盛な生命力そのままに、道端で盛り上がってる。
「あ! 」
先輩が気づいた。
「通行注意の看板がある! 」
国道と、堤防の上の道の間だね。
上に黄色い反射板が二枚のってる。
看板は2つ。
真ん中を開けて、互い違いに並んでる。
乗用車なら、真ん中をうまく避けて通ると思うけど。
「装甲車じゃ通れないよ!
引っこ抜いていい?! 」
『引っこ抜け! 』
応隆さんが言った。
『承認が必要かどうかは、あとで確かめる! 』
「了解! 」
ああやって、仕事をしやすくするよう働けるって、いいな。
『承認なら、この九尾 朱墨。
百万比咩神社陰司宮、B小隊ホクシン・フォクシスの隊長がだします』
無線が割り込んだ。
『そこの河川敷でドクターヘリが離着陸することがありますから、問題ないです』
パーフェクト朱墨が基地から帰ってきた。