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第二三話☆隣人と夫婦喧嘩

理香の誕生日も過ぎ、当分はイベントもなかったはずだった。

そう"はず"だった。

しかし、それは季節外れに引っ越して来た
隣人によって私たちの生活が崩されたのだった。

そう、あれはたまたま、理香と二人で行った買い物の帰りに
マー君が隣人の女性と仲よさそうに話をしているところを
見てしまったのだ……

別に女性と話すなとは言わない。

教師なんだから女性教師とも女子生徒とも
話す機会は幾らでもあるんだから。

ただ、私が気に入らなかったのは
その女性の引っ越しを手伝っていたことだ!!

しかも、言ってくれれば私も理香も手伝うというのに
マー君は何も言ってくれず私たちに内緒で
隣人の手伝いをしていたのだ。

幸か不幸かマー君たちは私たちに気付かなかったから
そのまま、家に入って理香には耳を塞ぐ様に言ってから
玄関のドアを思いっ切り閉めた。

隣にも聞こえただろう。

『理香、二人でどっか食べに行こう』

買って来た物をさっさと仕舞って出掛ける用意をした。

お金はマー君のへそくりから使った。

理香の手を引いて、
高校時代から行ってるファミレスに来た。

「あれ、華蓮?」

呼ばれて振り向くとそこには絢菜と侠耶君が居た。

『久しぶり』

つい話が弾んでしまい、
理香が聴いてくるまでしゃべってしまった。

「誰?」

まだちょっと情緒不安定な理香は
学生時代より人見知りになった気がする。

『高校時代の同級生だよ』

結局、四人で相席となった。

『会うのは初めてだっけ?』

三人は自己紹介を始めた。

なんだか微笑ましい光景だ。

私は今日の出来事を進行形でグチっている。

さっきっから携帯が鳴っているが気にせず、話を続ける。

ファミレスを出たのはそれから三時間後のことだった。

家に帰ると玄関に立ってるマー君がいた。

『何処に行ってたんだ?』

第一声がそれか。

予想通りだけど。

『別に何処だっていいじゃない』

私は出掛けた時と同じ様に理香の手を引いて洗面所に向かった。

その後は一言も口をきかなかった。

何にも気付いてないんだから……

「マー君のバーカ」
と心の中で悪態をついた。

あれから、口をきかず一ヶ月が過ぎて十二月になった。

もうすぐ、結婚記念日だけど今年は無理だろう。

そして更に、二ヶ月経って今日から二月になった。

隣人に会えば、イライラなんて微塵も見せず
"一応"挨拶はする。

向こうが気付いてるかは知ったことではない。

そんな夫婦喧嘩に終止符が打たれたのは
それから三ヶ月経った五月の始めに
絢菜から高校時代の同窓会のメールが来たのが
きっかけだった。

《いい加減仲直りしなさいよ》

メールの最後の部分を読んで苦笑いした。

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