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第二二話☆誕生日は盛大に

あれから、理香の両親から連絡は来なくなった。

そして今日は理香の誕生日。

張り切って豪華にしようと思う。

誕生日や記念日はちょっと贅沢出来る
特別な日だと私は思っている。

それはマー君のせいかもしれないけど……

とにもかくにも、大事な友人で家族の
誕生日なんだから盛大に盛り上げなきゃね。

「ただいま」

理香が帰って来た。

マー君はあいにく職員会議で遅い。

まぁ、仕方ないか。

『お帰り』

私は料理の最中で手が離せないからキッチンから返事をした。

『そうだ理香、昼間にメイドさんたちから宅急便が来たんだよ』

そう、今日の昼間、鈴見家の
メイドさんたちから荷物が届いたのだ。

「本当に?」

そんなに大きな箱じゃなかったから
理香の部屋に運んだ。

『部屋に置いといたよ』

彼女たちは理香に何を送って来たんだろう?

後で訊いてみよう。

料理をしながらそんなことを考えていた。

因みに、音信不通な両親は
当然ながら送って来なかった。

「華蓮、佐川さんは?」

言ってなかったっけ……

『マー君は今日職員会議で少し遅くなるって』

「そっか」と言って部屋に戻って行った。

十五分後、理香が部屋から出て来た。

時刻はまだ午後七時を少し過ぎたくらいだ。

手伝うと言った理香に私はテレビでも見ててと言った。

普段なら手伝ってもらうけど今日の主役は
理香なのだから当人に手伝わせられない。

渋々ソファーに座った理香は
テレビを点けて何時も見てる番組にした。

『ただいま』

マー君が帰って来たのは午後八時半過ぎだ。

思いの外早く帰って来てくれてよかった。

『お帰り』

テレビを見てた理香も立ち上がり、二人で玄関へ向かう。

『はい、ケーキ買って来たぞ

誕生日おめでとう』

それを理香に渡した。

「ありがとう」

流石マー君、家族の誕生日を忘れてなかったんだね。

部屋着に着替えたマー君がリビングに来たので
料理をテーブルに並べた。

「うわぁ~ 美味しそう」

結婚記念日とはまた違った料理を作った。

主役の理香が喜んだならよかった。

夕飯も終り、マー君が買って来たケーキを冷蔵庫から
取出して切り分けた。

因みに、チョコレートケーキだった。

お腹もいっぱいになり食休みした後、
二人で理香にプレゼントを渡した。

『理香、誕生日おめでとう』

両親が離婚して、会えなくなって心に傷が出来た理香。

これから先は私とマー君で
寂しい思いをさせない様にしようと
嬉しそうにプレゼントを見つめる理香を見て心に誓った。

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